混沌の旅人

□悲しみの上塗り
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開いた扉に飛び込んだ。



身体が粒子に分解されていく


視界が光に包まれていく


私が私で無くなりそうな感覚



「(怖いっ…)」


恐怖。


このまま粒子になり、再構築されずに死んでしまうのではないかという、おそれ。


恐れてはいけない。


なのに…


私は何て、気弱いのだろう


人と向き合うことさえ拒否して
私自身のことも受け入れず



孤独に、なっていた。



私は何て、愚かなのだろう


一人が、孤独が


苦手で、怖くて、恐ろしくて、



嫌いなのに











あれ



なんだか




暖かい…?




右手が、ほんのり暖かい



人肌だ





安心する


暖かくて

ほんわかして

その手に縋り付いてしまいたくなるほど


自らの、ため込んできたもの全てを吐き出してしまいたいほど、


なんだか、すべて受け止めてくれそうな

その手は





あなたは――だれ?










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