幕末志士の恋愛事情

□捌
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「・・・おはようございます。」

紫苑はほうきで寺田屋のまえを掃除していた。
土方が肩で息をしながら紫苑を見下ろす。
扉の一枚向こうには、龍馬たちがいるのだ。
心臓は爆発寸前だろう。

土「・・・白李しらねぇか?」
「白李?」

少し考える仕草をして、心当たりがあるのかあ、と呟く。

「え、なにも説明されてないんですか?
 まぁ、話しにくいとは思うんですけど。」
土「今朝黙っていなくなってな。」
「・・・」

紫苑は困った顔をして、ため息を吐いた。
そして、3人を見上げる。
藤堂も、急いでついてきたのだ。

「白李の髪が白い理由・・・しってますか?」

3人とも首を振る。
後ろからドガガガと足音が聞こえた。
以蔵あたりがいそいで階段を下りたのか、
だれかがつまづいたのか。

「・・・なにも、聞いてないんですね。」

はぁ、と溜息をはく。
前置きが長い。
それだけ、言いにくいことなのだろう。
それでも、必死に口を動かそうとしてくれる。

「今日は、白李の両親の命日なんですよ。」

遠くを見つめながら、いった。









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