幕末志士の恋愛事情

□質
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龍「白李!!!」
「ぶ!」

連れてこられたのは寺田屋。
龍馬たちも待機していたようで、入った瞬間抱きつかれる。
胸元に顔をうずめ、白李はポカポカと背中を叩く。

「大丈夫ですよ、新選組の皆さんは優しいですから。」
龍「ほうか?」

龍馬と武市が心配そうな顔をする。
2人と一緒にいたから。
新選組の隊員を倒したから。
原因は自分たちにあると思っているのか、本当に申し訳なさそうだ。
きっと、今の今まで心配してくれていたのだろう。

「ありがとうございます、私は、大丈夫ですから。」

はにかむように、笑う。
そこでバン!と麩が開かれた。

慎「白李さん!」
「慎ちゃん。」
慎「その着物、にあってるっスね。」

この間土方たちに買ってもらったものだ。
白李はまた苦笑いをした。

「私たち、そこら散歩してきますね。」

2人で手をつなぎ、外に出て行った。
龍馬たちと一緒にいることはやはり危険なことであり、
ましてや新選組にとらわれている白李からしたら長居はできない。
外に出て近くの川を目指した。

草履を脱いで川に入る。

「・・・紫苑ちゃん、私ね、歴史かえちゃうかもしれない。」
「え?」
「・・・沖田総司さんは結核でね。今の時代では治癒できなくて、
 30代前半で死んでしまうことになってる。」

紫苑は黙って聞いている。
白李が嘘をつくことはない。
いや、あったとしても相手を心配かけないようにするためだ。
今現在、周りに人の気配はない。
こんなところで、嘘を付けるはずがなかった。









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