幕末志士の恋愛事情

□伍
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斎藤が横祓いをしてくる。
それを、竹刀をたてて塞ぐ。
竹刀とはいえ、相手は男だ。
力は倍あるだろう。
少し表情を歪めながら、払い飛ばす。
少しだけ、斎藤の体のバランスが崩れた。
白李が重心を低くし、刀を振り上げ
ある一点で竹刀をとめ、少し距離をとった。

斎「・・・くっ!」

斎藤の顔が苦痛で歪む。
白李は回転しながら刀でいう柄のほうで
みぞおちを叩く。
それも、軽くだった。
斎藤の顔色が少し、悪くなる。
それを見計らって首元に竹刀を当てた。
斎藤も、白李の首元に竹刀を当てていた。


土「・・・ほう。」

近くで観戦していた隊長たちがどっと息をはく。
まるで、自分たちも戦っているかのような気分だった。
お互いに頭を下げる。

斎「君は体については詳しいのか?」
「・・・少しですが・・・」
斎「少し?急所ばかり狙ってきていただろう。」

白李がある一点で止めたのは心臓。
もし、刀だったら先に死んでいたのは斎藤だった。
白李は困ったように微笑んだ。
斎藤は汗をかいているというのに、白李は
全くと言っていいほど汗をかいていない。
体質か、それとも余裕だったのか。

藤「おまえすげぇな!」

藤堂が駆け寄る。
白李は竹刀を拭きながら答えていた。

藤「・・・だけど、服必要だな。」
「む、」

白李が自分の着物を見下ろす。
胸元ははだけてしまっている。
藤堂が直してやるが、またはだけるだろう。
それでも何とかして、固定する。

沖「着物買いに行きますか?」

総司が笑いかけてくる。
白李は遠慮するかのように、手を振った。

沖「薬のお礼です、いきましょう。」

なでなで、と小さな頭が撫でられた。









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