ワンピースブック 長編

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「お兄ちゃん、あそぼうよ!」
「ちょ、家建ててから!」

少年の手をぐいぐいとひっぱる子供達。ルフィたちが連れてこられた場所は
ロスト島から少し離れた小さな島だった。そこは村があったのだろうが、ほとんど原型を
保たれておらず、地面にいくつか血が飛び散っていた。
男達がほうたいを巻いて出てきたことから襲われたことが明確になった。

「じゃぁおうち建てたら遊んでくれる!?」
「うん。約束してあげる。だから手伝っておいで。」

子供のしりをぽんとたたき、歩かせると少年も歩き始めた。そこをまたもやルフィが止める。

「俺達は何をすればいいんだ?」
「・・・ここで死んだ人は少なくない。家族は別れを告げることで精一杯だから・・・
 そうだね、家を建てるの、手伝ってもらおうか。」

遠くを見れば男の前で泣いているものもいた。包帯を巻いて動いているものは少ない。
少年は悲しそうな表情をして木材を積み上げ始めた。ルフィたちも黙って手伝う。

何件か立てた後、少年が話しかけてきた。

「僕花を探してくるからちょっと頼んでいい?」
「なんで花?」
「・・・花ぐらい置いてあげたいだろ?見てのとおり・・・こんな状態だから近くに花なんてなくて。
 僕が探したほうが効率よさそうだし。」
「ああ、ココは俺達に任せろ!」

微笑むと方向をかえ、森の奥のほうへと歩いていった。すぐに家を建てるのに集中し始める。


真夜中、2時ごろようやくほとんど家が出来あがった。それと同時に村の人も帰ってきた。
全員小さな花を持っている。後ろのほうでどろどろになった少年も帰ってきた。
なにをしてそこまでよごれたのか大変気になったがあえてつっこまなかった。

「ありがとうございます。私達のためにわざわざ・・・」
「いえ。今日はゆっくり休んでください。」
「・・・帰ってしまわれるのですか?」
「ええ。もう、あえないかも知れませんが・・・」
「あなたが忙しいことも知っています。ありがとうございました。」

少年はガサゴソとポケットから紙とペンを取り出し、カリカリとなにか書くとそれを女性に
手渡し、背を向け、船へと歩いていった。女性はそれをみて涙を流し、家へと入っていった。

暗い夜の道、少年の足音だけが響くかとおもったら違っていた。ルフィたちも追いかけてきたのである。
それぞれはなれないように気をつかいながら(特にゾロ)少年の歩幅に合わせてついていく。





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