Book2 長編
□3人
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「なにもない。」
ぽつん、と一言つぶやいても返事が返ってくることはなく、静寂が続いていく。
どこに立っているのかわからなくなり、少し酔ってしまいそうだ。
「・・・誰かいないの?」
すっと手を前に伸ばす。しかし、何も触れることがなく、空気をきるだけ。
何もない、そんな空間にずっといれば精神がおかしくなってしまいそうだった。
そんなサタチの目をふさぐ、白い手。冷たく、人間のようなぬくもりはなかった。
『だぁれだ?』
くぐもった声、白一護によくにていた。だれかわかった。想像できた。
「・・・私の、虚?」
『せいかーい♪』
手をすっと離され、真っ暗な空間が広がり、後ろを振り替える。
そこにはサタチにそっくりな人が立っていた。
『はじめまして、サタチ・・・』
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