幕末志士の恋愛事情

□陸
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「紫苑ちゃん。」
「白李・・・!大丈夫?怪我はない?」

紫苑がギュッと抱きしめる。
今はこの時代で言う珍妙な格好はしていない。
緑色の、綺麗な着物だった。
後ろに、慎太郎も申し訳なさそうな顔をして立っている。

慎「申し訳ないっス・・・俺の不注意で。」

ペコ、と頭を下げられる。
白李はその頭をペチ、と叩いた。

「白李、帰ろう?
 龍馬さんから聞いたけど、新選組は危ないって・・・」

信じられないような顔をする。
それもそうだろう。
未来では正義の味方とも言われていたのだから。
きっと、なにをされるのかも聞いたのだろう。
龍馬と一緒に新選組と戦ったという
逃れられぬ証拠から、白李が尋問を受ける可能性は高かった。
尋問や拷問がどれだけ白李の体に負担をかけるのか知っている
紫苑は、きっと別れた日から心配していたのだろう。
指先がガクガクと震えている。
その手をそっと包む。

「紫苑ちゃん、私は大丈夫だよ。
 ひどいこと、されてないよ。」
「でも・・・!」
「恩があるから。」

大丈夫、とまた頭を撫でた。









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