幕末志士の恋愛事情

□参
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馬の鳴く声が聞こえて、目を開ける。
少し肌寒い。
夜なのだろう。
あたりは暗い。
頭に痛みを覚えつつ、体を起こす。
あたりを見渡す。
だんだんと目が慣れてきて、馬小屋とわかった。
白李がそっと馬に触れ、ゆっくりと立ち上がった。

閉じ込められているのは明白だった。
肩で息をしながらカバンを探す。
だが、見当たらない。
没収されたようだ。
クス、と白李が笑う。

土「目が覚めたか。」

から、と扉が開く。
白李が入口を見た。
改めて見ると本当に大きい。
威圧感もある。
隊長ぐらいだろうか、とあたまのなかで考えた。

土「こい。」

そっと手招きをされる。
だまって、後ろについていった。


やはり暗いようで、火がともされていた。
その庭の中心と言える部分に御座が引いてある。
そこに、ちょこんと座り込む。

敵「あ、副長、こいつです!!」

今朝の新選組のやつが白李を指差す。
すぐに目の前まで移動して白李の前髪をつかみあげる。
痛みに顔をしかめたが、表情はあまりかえなかった。

敵「てめぇ、女のくせに朝はやってくれたな。」
「・・・弱いのが悪いのに、人のせいにするな。
 女の私に負けたのは、弱いからだろう?」

その言葉を言った瞬間、男の拳が飛んできた。









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