幕末志士の恋愛事情
□拾肆
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険しい道を歩いていく際、ちょうどいい大きさの刀を腰から下げる。
そして、やっとお気に入りの場所についたとたん
白李は勢いよく後ろへ振り返った。
「白李・・・?」
「紫苑ちゃん、ここ綺麗でしょ?」
「え?うん、きれいだけど・・・」
白李は笑っている。
なにを考えているのかわからなかった。
いや、薄々気付いていたかもしれない。
1人ではない複数、追いかけてきている。
ニヤニヤとしていて、
お酒を飲んでいたのか。
武士だ。
腰から剣を下げている。
白李は紫苑を後ろへ下げる。
男「おいおい、お嬢ちゃん。この人数を相手にしようと?」
沖田のように同時に3人を倒すことなどできない。
きっと、今はちっぽけで弱いだろう。
まともな、刀などない。
他人を押さえ込むような力が、道具がない。
袖をたくし上げる。
着物は動きにくくて仕様がなかった。
「白李!」
叫び声とともに、白李が地面をけった。
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