ハガレン

□第1話
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真夜中、少年がタッカーの家の前に訪れていた。警備員だろう、軍の男2人は殺されている。
周りに誰もいないことを確認してから中に入った。

目指す部屋はただひとつ。足を進めながら目的の部屋の入り口にたった。
中には不思議な犬の頭に手を置いている大きな男性がみえた。わざと足音を立てると男が振り返った。
かなり身長が高く、体もよい。体術なら子供は簡単に負けてしまうだろう。しかし、今は
争いに来たわけでもないのだろう。特に構える様子もなく、ただたって相手を見ているだけ。
相手に背中を向けることが嫌いなのか不思議な犬の頭から手を放し、少年と向き合う形になった。
お互いの顔を確認できる。男は子供を見るなりサングラスの下で目を見開いた。
少年は頭上に『?』を浮かべ、首をかしげる。

「・・・・・・邪魔しに来たなら殺す。」

先に声を出したのは男だった。ピカっと光って雷が落ちた。子供は首を横に振り、視線を下に向ける。
大量の血を流し、倒れている男、タッカー。もう死んでいるのだろう。生気が感じられない。
すっと顔を上げ、男をみた。サングラスの下には子供と同じ赤色の瞳がうっすらと見えた。
茶色に近い肌、白い髪。一番特徴的だったのは額の傷だろう。

「その犬、僕にくれないか?」

犬を指差す。その犬はタッカーさんを見ながら涙をこぼしていた。男はキメラを見る。

「元には戻らん。安らかに眠らせてやれ。」
「戻せるっていったらどうする?」

ポケットから白いチョークのようなものを取り出し、地面に大きな円を書き始めた。
中には誰にも見たことがないような文字を書いていく。黙ってそれを見ている男に
子供は何か思い出したのか、あ、とつぶやいた。






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