長編
□9、あの戦争の原因
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「・・・・・・いつかは話さなければいけないってわかってた。でも、話したくなかった。」
見上げることがだるいのか、下を向いたまま言う。声はこもっているが、なぜかはっきりと聞こえた。
凛とした声が部屋に響き渡る。オヤジはベッドにしゃがんで聞いていた。
「・・・過去のことか?」
少し間があったがコクン、とうなずいた。
「過去のことは全部話せない。でも、楽なものじゃないよ。」
「・・・どんな過去があろうと、お前達は俺の息子にはかわりねぇはずだ。」
「・・・お兄ちゃんたちは普通なの。私は、化け物に近い。」
ん、と少し停止してしまう。ポケットからごそごそとなにか小さな紙を取り出すと、
オヤジにわたした。内容は『オリックス家』についての内容だった。割と有名なほうだ。
オヤジでも聞いたことがある。そして、その特徴も。数年も前の新聞紙だろう。
今までずっと持ち歩いていたのか、ぼろぼろになっている。ただ、まったく読めないということではないのでなんとか目をこらし、
読むことにした。
「・・・こいつらのことは俺も知っている。だが、お前になんの関係が?」
あごに手を置きながら言う。
「・・・・・・ああ、まだちゃんと自己紹介してなかったね。」
くい、っと顔を上げると名前を言った。
「オリックス・サタチ、それが私の名前だ。」
オヤジの目は限界まで開かれた。
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