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□真夏のうたた寝
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…暑い…
この時代の夏は、私がいた世界よりも暑くないんだろうけど…
でも暑い…

大久保さんに麻の着物を頂いて、少しは涼しくなった…気がするけれど
エアコンに慣れた身体には堪える自然の暑さ。

思わず袖と裾を捲って団扇で扇ぐ。
スカートの中を扇ぐみたいに、着物の裾から風を送ると…
あ!結構、涼しい。
自室で誰もいないのを良いことにパタパタと扇ぐ。

うーん…
気持ちいい。
なんだか眠気が…
ちょうど開けた障子から風が入ってきて…思わずうとうとしてしまった…


…なんだか騒がしい…
ふと目を開けると…
私の周りに…
龍馬さん、慎ちゃん、以蔵に武市さん…?
みんな…赤い顔をしている?

「あれ?皆さん、おかえりなさい…」
目を擦りながら起き上がる。
…みんな、固まっている?
「…どうしたの?」
訳が解らずにキョロキョロすると…

「…あ…姉さん…」
「あまり動いちゃダメぜ…よ」
「…目のやり場に…困る」
「…しかし、なぜ皆ここにいるんだ?」
「な!武市こそ!最初にいたのは、おんしじゃろ!?」
「俺は二人がいたから来てみたッスよ!」
「慎太!それは言い訳だろう!」
「知ってて混ざった以蔵くんだって同罪だよ!」

…え?なに?
なんでみんな、揉めてるの?
覚醒しきれない頭で、ぐるりと見渡す…と!
捲った着物から太股が出たままで…
オマケに暑さで自分で乱したのか、胸元がかなり開いている。

「………………っ!」
ぎゃいぎゃいと騒ぐみんなに
「出てって〜!!」
慌てて後ろを向いて着物を直す。
「みんな嫌い〜!」
自業自得という言葉は、この際忘れたことにする。

叫んだ私に驚いた4人が静まり返って…
すごすごと部屋から出ていった。

一人になった部屋で、改めて恥ずかしさが込み上げて…
そのまま夕食にも行けずにふて寝してしまった。


一方、追い出された4人。
「…怒らせてしまったのう…」
「普段は優しい姉さんだから、怒ったら怖いッスね」
「…しかし…」
「いいものを見たな…」
「あ!以蔵くん!言っちゃった!」
「っ!?皆、そう思ったから黙って見ていたんだろうが!?」
「…以蔵…口に出すのは、不粋と言うものだ…」
「…まだまだじゃな…以蔵」
「…ッスね」
「なっ!?皆、狡いぞ!」


志高い(はずの)若い男子達は…
この暑さに感謝するのだった…


むりやり終了!
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