『桜の下の姫君へ』

□戻りたい場所がある
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穏やかな光の中・・・

桜の花弁がひらひら舞い落ちてくる。





私がいるのは・・・父と母のお墓。





桜「………」



只の形だけの墓。


父様は・・・どんな人だったのでしょうか?










桜「母様……父様……」



空を見上げる・・・

2人は・・・今、空の上で一緒にいるのでしょうか・・・?



それだったら良いのですが・・・







桜「………」


リクオ様もこの空を見ているのでしょうか?


こういう場面で・・・


いつもリクオ様がいたのにと、私は何百回考えたのだろう・・・




あんなに傍にいたのに・・・


私の傍にはあなたはいない。













私が壊してしまったのに、こんなにも執着してるなんて・・・





リクオ様の優しさ、温かさ・・・今でもはっきり覚えている。


あの優しい笑顔・・・






桜「会いたい…っ」



本当は別れたくなかった・・・

離れたくなかった・・・

傍にいたくて、傍にいてほしくて・・・




あなたのことを想うたびに、涙が止まらなくなってしまう・・・





今でも心が痛い。

でも・・・

この痛みが消えたら、この想いまで消えてしまいそうで怖い・・・



















桜「…若っ!」





自分で決めた道なのに・・・



”本当にこれで良かったの?””別の道があったんじゃないのかな?”




そんなことを考えてしまう自分が嫌になる・・・



こんな自分だから・・・




”リクオ様に会いたい”って・・・考えてしまうんだ・・・










もう会わないって決めて出て来たのに・・・






涙が頬を伝って落ちていく・・・

































桜「………!!」




そんな私を誰かが後ろから抱きしめていた。




あなたは・・・






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