『桜の下の姫君へ』

□母の最初で最後の言葉
2ページ/4ページ








目の前で何があったのか分からない・・・



母様が私を庇って、それで・・・















妖狐「っ……」




崩れ落ちた母様の体を受け止めた。



大量の血が溢れている・・・



早く傷を・・・!



傷に手を添えようとしてら、私の手を制止、母様は笑顔で首を横に振った・・・




どうして・・・?














晴明「…やはり、お前か。

そこまでして、自分の娘が大切か?」






妖狐「…えぇ……大切、です…

晴明様も……大切に、されて……おり、ました…」




晴明「フンッ…戯言を…」



鵺は私たちから離れて行く・・・


そして、またリクオ様に近づいていく。






桜「止めて!!」


リクオ様に刀が振り上げられる・・・


それを受けたのは、羽衣狐の依代だった・・・





桜(どうして……?)


妖狐「…さ、くら…」


桜「母様……傷を手当しなければ死んでしまいますっ!」


妖狐「クスッ)…私の畏は……もうすぐ無くなってしまう…

だから、傷を治したとしても……私は消えてしまうでしょう…」



死んでしまうのですか・・・?


私・・・

















桜「嫌…です…っ!

ようやく会えたのに……あんなに会いたかった母にやっと出会えたのに…

私はまだ……話したい事だってあるんですっ!!

だから、死なないで下さい……っ!!!」



涙が頬を伝い、母に落ちる。


母は溢れる涙を優しい手つきで拭ってくれている・・・







妖狐「…鯉伴様が……あなたに”桜”という名を与えた由来は…

”桜のように、散ってしまったとしても…また美しく咲く桜のようになって欲しい”という願いがあったそうなんです…

素敵な名ですね……”桜”……^^」





鯉伴様・・・


そんな思いで、私に名前を付けてくれたのですね・・・





妖狐「…桜、私はあなたを愛していますよ」


桜「!」



妖狐「…あの人が残してくれた……私のたった1つの宝物…
傍にはいてあげられないけども……私は永遠に…あなたを愛している…

今まで……傍にいてあげらくて……ごめん、なさい…ね…」




頬に触れていた手が力なく崩れ落ちた。

そして、霧のように消えてしまった・・・





さっきまであった・・・

母様の重みが無くなってしまい、母が纏っていた着物だけが残る・・・




母様・・・






桜「……っ」


母様が最後に残した”愛してる”という言葉が心に響いている・・・



私が・・・母様に聞きたかった言葉・・・




最初で最後の・・・言葉・・・






























桜「母様…っ!」



涙が止まらない・・・




”愛してる”なんて・・・


別れる時に使わないで下さい・・・



悲し・・・過ぎますよ・・・!!!








次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ