弐
□鋭き畏を纏った者
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“青龍”と呼ばれた男は、とても端整な顔をしていた。
長い青い髪、どこか憂いを帯びた鋭く光る青い目。
歳の頃は夜リクオより少し上くらいだろうか。
玖音もとても綺麗だと思ったが、玖音とはまた違う。
彼が纏っている雰囲気は、とても神秘的で人間離れした美しさを放っている。
そこらの妖怪とも違う。
とても特別感が溢れる、とても不思議な雰囲気。
その何とも言えぬ青龍の美しさに桜は魅入ってしまった。
「お前……な、何でこんな所にいるんだよ!!」
玖音の声にハッと現実に戻された。
すぐ傍にいる玖音を見れば、明らかに動揺している。
こんなに動揺する玖音を見るのは初めてだ。
いつも余裕を持っている姿しか見たことがなかったから。
「舞姫がお呼びだ」
そんな玖音に静かな声音で青龍が声をかける。
その声すら威圧感があるような気がしてならないリクオと桜。
玖音はキッと青龍を睨みながら、憎たらしい口調で反論を口にする。
「ヤダね、どーせお前も行くんだろ」
「……はぁ」
溜め息をついた青龍は玖音へと近づき__
「うわっ!何すんだ!?下ろせ!!!」
玖音は猫のように首元の着物を掴まれ、宙に浮いている。
必死に逃げようと足をバタバタと動かしているが、子供の姿ではどうすることも出来ない。
「コイツが無礼を働いて申し訳ない」
それだけを桜たちに言って、玖音を掴んだまま行ってしまった。
玖音の抗議の声が聞こえたが、それもどんどん遠くへと消えていった。
『く、玖音さんがあんなに取り乱すなんて……あの方は一体何者なのでしょう…』
「さぁな。遊戯組の組員ということは分かるが…」
『青龍さん、ですか…』
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