□「誰よりもお前がー…」
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舞姫に案内してもらい、部屋でふぅっと息をつく。



そして今日の出来事を思い返す。



舞姫がリクオとキスをして、リクオと喧嘩して、舞姫に人質として取られて、玖音とリクオが殺し合って…



本当に今日はたくさんの出来事があった。






『リクオ様に謝るタイミングを逃してしまいました…』





彼の傷を治してる時、彼は1言も放さなかった。


何か気まずい空気が漂っていた気がする。





しかし、舞姫はリクオのことが好きなのかは分からないままだ。



本当に舞姫がリクオが好きなのだとしたらと考えると…





『(変な気分です…)』





胸のあたりにモヤがかかっている感じだ。






「桜、入るぞ」





『(え!!?)』





考えてたら本人がきた。



心の準備も何もなしにリクオに会うなんて。




しかも返事もなしにガラっと襖を開けてきたリクオに、更にパニックになる。






「今日は悪かった。怖い思いさせただけじゃなく……その、思ってもない事言っちまって…」




『…わ、私の方こそ…ごめん、なさい…』





片言だが、謝る。



未だに混乱した頭を整理して、次の言葉に何を言ったらいいか分からない。




悩んでいると、リクオが桜の前にしゃがみ込んだ。




「後、俺は誰よりもお前が可愛い奴だと思ってるぜ?」




突然の口説き文句に顔を真っ赤にさせた。



そして桜をぎゅうっと抱きしめる。


耳元で囁くように…




「本当に悪かった。頭に血が上って、逆ギレなんかして…他の男の所に行けなんて、これっぽっちも思ってねェから」




あの時の言葉を気にしてたのか。



だが、そんな言葉をサラっと言ってしまうリクオに耳まで赤くする。



体中に熱がこもり、恥ずかしさのあまり顔をリクオの肩に埋めた。






『そんな事言ってるからたらしって言われるんですよー!!』




「は!!?」




桜の訳も分からない叫びに困惑する。



たらしなんて言われた覚えはない。




『誰かれ構わず優しくして、色んな人に好かれて…

なのに、私なんかに真っ直ぐに気持ちぶつけてくれて…それで…』





混乱し過ぎて桜の目には涙が滲んでいた。



リクオの周りには、雪女、家長さん、淡島(?)、毛倡妓に舞姫など…


自分よりも素直で可愛い子がたくさんいる。



なのに、なぜ自分に好意を向けてくれるのか分からない。







「何で泣いてんのか分からねーけど、俺は桜のことが好きだ。

それだけは分かって欲しい」







桜を放して、頭を軽く撫でると部屋を出ていった。



撫でられた部分を触れ、桜は…






『(このままじゃいけないことは、分かってるんですよ…)』






この歪な関係を続けるわけにはいけない。



答えを出さなければ。



いつか。





例え、どんな答えを出しても、この関係は壊れてしまうのだから…












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