□真実
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約100年前。




迷宮の奥深い闇の中に1人でいる妖怪がいた。




彼の純白の髪は闇の中ではひと際目立っている。だが、その純白の髪の所々には赤黒い血痕がついていた。





闇の中で生きていく妖怪。



確かに恐ろしいものだ。




人間だけでなく、妖怪を殺すことを快楽にしているのだから。







人の間では「悪夢」などと呼ばれることもある。


精神を壊して生きた屍とすることは彼にとって簡単なこと。それを恐れない人間なんてどこにいる。

いないからこそ、彼は暗い闇の中1人で生きていかなければならない。







「…誰だ?」




誰かの気配を感じて声を発した。



闇の中から現れたのは、光のような金色の髪をした女。


纏っている雰囲気から妖怪だということが分かるが、自分とは違う何かを感じた。




「私は遊戯組の姫君、舞姫でございます。
あなたは最近、ここらで妖怪を殺している……闇に棲む妖怪で宜しいのかしら」






「俺に何の用だ?殺して欲しいってんなら、殺してやってもいいぜ?」




挑発するように口の端を吊り上げる。


男からは狂気しか感じ取れず、笑っているのに目の奥が笑っていない。


背筋が凍るような冷たい目。







「生憎、私にはそんな願望ありませんわ」



「じゃあ何の用だ?」




「あなたを遊戯組に入れる為に参りました」




「は?」




にこっと笑う彼女に、彼は間の抜けた言葉を発してしまう。



それでも彼女は笑顔を絶やさない。





「遊戯組に歓迎致しますわ♡」




彼は彼女を睨む。




「ふざけんじゃねェ。そんな所に入ったところで、面白い事なんて何もねーんだろ」




「では、私があなたの駒になりましょう」





突然の申し出に、目を見開く。



そんなことを言った奴は初めてで驚いた。





「それなら、楽しいでしょう?」



「正気かい?」



「えぇ、正気ですわ」




彼女は本気だ。



何か企みでもあるのかと疑ったが、彼女の発想が面白いとも思った。



しばらく悩んだ後、ハハッと笑う。




「仕方ねーな、あんたを使ったゲームも良さそうだ」





どうやら話に乗ってくれるらしい。



そのことに彼女はニコッと笑うが、その笑みには憂いが交っていたことに、彼は気づかなかった。






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