弐
□この世の全ては自分の駒
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ザシュッと音を立てて玖音の刀がリクオへと刺さった。
だが、リクオの体はぐにゃりと歪み消え、少し離れたところに現れた。
玖音はリクオを斬ったと思った刀を見つめて…
玖音「ふーん……これが“鏡花水月”か」
納得したように呟くとニヤッと口元を吊り上げた。
玖音「面白ェじゃねーか^^」
夜リ「………」
楽しそうに笑う玖音。
しかしリクオには何とも言えない冷たいものが感じ取れた。
例えるとしたら“冷たい華”。
綺麗だが触れたら冷たく凍りつくような…
そんな感じだ。
玖音「壊し外のある玩具で嬉しいぜ^^
舞姫でも奴良組3代目を誘き出すぐれェは出来たみてーだな」
夜リ「テメェ…本当に舞姫の側近か?」
自分が知っている側近は、主をこんなふうには言わない。
玖音が舞姫を慕っているようには思えなかった。
いや、むしろ…
玖音「あの女は俺の手駒だ、遊びを面白くする為のな」
夜リ「自分の大将を駒、だと!?」
玖音「自由に動く性能の良い駒……一応この組の頭だけどな^^」
夜リ「っ!」
まるでこの世のもの全てを玩具のように思っているような目。
その紫の瞳がリクオを映す。
新しい玩具でどうやって遊ぼうかと好奇心に溢れている。
玖音「俺を楽しませてくれよ?じゃないと……桜を殺す前にテメェを殺すぞ?」
夜リ「っ桜は殺させねーよ」
刀を持っている手に力を込める。
舞姫は分からないが、玖音の言葉は本気だ。
その気になればいつでも桜を殺す。
玖音「クスッ)どうかな?我らが“姫”が痺れを切らすかもしれないぜ?」
夜リ「(コイツ、俺の心を読んで…!?)」
考えていた答えが玖音の口から出たことに驚きを隠せない。
それをさも当然のように玖音は振る舞った。
玖音「俺は、そういう妖怪なんだよ」
夜リ「……っ」
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