弐
□迷いの迷宮への誘い
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《リクオSide》
舞姫と玖音が進む道を追いかけるように歩く。
今、コイツらに刃を向ければ桜が危険なことぐらい分かる。
舞姫「着きましたわ^^」
つれて来られたのは丘の上。
屋敷からそこまで離れてない場所だ。
一見すると変哲もない只の丘の上なのだが、その下を見た瞬間目を見開いた。
夜リ「何だよ…コレ…」
丘の下には無数の迷路状の道が広がっていた。
舞姫「フフ^^ここは“迷いの迷宮”、迷ったら2度と帰れない「死の迷路」ですわ♡」
そこでようやく理解した。
夜リ「(命を賭けろってのはこういう事かよ…)」
この迷路で迷った時点で“死”は確定だ。
つまりは俺がこの迷路で迷ったら舞姫たちの勝利は決まる。
玖音「この迷路全体が“畏”で出来ています」
夜リ「!!!」
これ、全部か!?
いくら何でも広すぎるだろ…
玖音「迷路で迷って出られなくなれば、畏に呑みこまれた証です」
舞姫「この迷路には数々の仕掛けがありますの♡」
夜リ「…それも全部“死”に繋がってんだろ?」
舞姫「ニコッ)私達はこの迷路のどこかにいますので、見つけて下さいまし^^
つまり……“かくれんぼ”ですわ♡」
かくれんぼ、か…
昔、桜と何回もやったな…
俺が鬼の時は毎回アイツを見つけていた。
だから今回も…
舞姫「制限時間は3時間。3時間後には…」
夜リ「…っ!!!」
舞姫は持っていた小太刀を玖音が抱きかかえている桜の頬にあてた。
血は出ていないものの、少しでも動かしたら…
舞姫「桜の可愛らしいお顔に傷が付きますわよ?^^」
夜リ「ってめェ…!!」
怒りが体を動かし、長ドスの鞘を抜き、舞姫たちに斬りかかる。
しかし、舞姫たちの体は空気にぐにゃりと歪んで消えてしまった。
舞姫「フフ…遊びはもう始まっていますのよ?
さぁ……命を賭けて、あなたの大事な者を取り戻して下さいまし^^」
空から舞姫の声が響いた。
どうやらもう始まっているらしい。
―とにかく進むしかねェ、か…
迷いの迷宮の入り口までやってきた。
デカい門を通って迷いの迷宮の中に瞬間、その門が凍りついた。
後戻りを許さないと言っているかのようだ。
夜リ「チッ、厄介な連中だぜ」
玖音「奴良リクオ様」
夜リ「!…玖音」
俺の目の前の道にいるのは玖音だ。
玖音「早くお進み下さい。
迷いの迷宮へ……ようこそ^^」
紳士のように頭を下げる。
夜リ「………」
コイツを斬っても仕方ない。
玖音を通り過ぎて先へと進む。
桜…
俺はまだ、お前に謝ってねぇんだ…
絶対に死なせたりしねーからな!!!
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