弐
□すれ違う想い
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舞姫の部屋に連れてこられて、向かい合わせに座った。
『それで、お話とは…』
「単刀直入にお伺いします。
桜とリクオ様は恋仲なのですか?」
ここでリクオの話題を出されるとはと思いながら、桜は「違います」と否定した。
「では、私がリクオ様を貰っても大丈夫ですわね」
『はい……えっ』
その言葉に耳を疑った。
でもそれを裏付けるように舞姫の周りがキラキラ光り、顔は高揚のあまり少し赤い。
「奴良リクオ様。あの見目麗しい容姿、強い妖気…
それでもって関東をしめる任侠一家、奴良組の3代目。
とても素敵ですわ!」
舞姫の顔は恋する乙女そのもの。
なんと返事をすればよいか分からない桜は、曖昧な言葉しか出なかった。
確かに「舞姫みたいな素直で可愛い子と付き合えばいい」とリクオに言った記憶はまだ新しいが、
まさか舞姫がリクオに恋をするとは思わなかった。
「そんなに俺が嫌なら、どっか行けよ!!
俺じゃない他の奴のとこに!!」
あの時彼に叫ばれた言葉を思い出してしまい、ムッとしてしまう。
「応援して、下さりますよね?」
桜の手を握り、ウルウルした目で桜を見る。
自分には拒否する理由がない。
『勿論ですよ、舞姫』
「本当!?嬉しいですわ!」
友達の恋が実ったらいいと思うのに、無性にモヤモヤしていた。
その理由は、やはり分からない。
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