□すれ違う想い
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「成る程、そんな事が…」



『はい…』






あの後、玖音は落ち着かせようと桜を縁側に座らせ、
桜が泣いた理由を親身になって聞いた。





玖音にあったことを話し、少し落ち着きを取りみだした桜は呟くような声で、





『私、リクオ様の言葉に傷つきましたけど…私もリクオ様に酷い事を言ってしまいました。

もうリクオ様に許してもらえない気がします…』






リクオの言葉を信じたいのに、信じられなかった。



だけど、彼が本当のことを言ったら自分はどんな反応をしたのだろう。







じわっと再び目尻に熱がこもる。





リクオともう2度と仲直りが出来なかったらと思うと、また涙が出てきてしまいそうになった。





そんな桜の涙を、玖音は優しく拭った。


壊れものを扱うかのような手つきで桜の頬に手を当てる。




その行動に何事かと思い、伏していた顔を玖音の方へと向けた。







「リクオ様以外の前で泣くなんて無防備ですよ」



『え……』





急に何を言われたのか一瞬分からなかった。



端整な顔に浮かんだ笑みはとても綺麗で、時間が止まったような感覚になる。







「リクオ様があなたを想うのが、少し分かる気がします」






耳元でそう囁いて、桜を置いて去ってしまった。







『(男の人は何を考えてるのか分かりません…)』







リクオは、玖音は、一体何を考えているのか。



分からない。






















「桜」




『…舞姫』





玖音が去った方向と逆の方に、舞姫が立っていた。





「こちらにいらしたのね。探しましたわ」



『……?』



「少し、お話しても宜しいかしら?」







彼女の笑みは妖艶で、妖しい色気を放っていた。




桜はそれに気付かずに、
彼女の誘いにのってしまったのだ――…。












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