弐
□遊戯組
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桜が帰った後の遊戯組の屋敷。
座敷に残った舞姫は、ろうそくの火を静かに見つめていた。
「…桜のこと、どう思います?」
彼女が口を開いた途端、闇の中から純白の髪をした青年が現れる。
ろうそくの火の光りに照らされた顔は、何ともいえぬ妖しき陰を映し出す。
「どうと言われましても…、とても美しい姫君だと思いますが」
「そう。私も美しいと思ったわ。
さすがは奴良組の姫と言われるだけのことありますわね」
褒めているわりには、舞姫の表情が曇っていく。
「それなのに、人間臭い匂いが染み付いていましたわ」
妖怪なのに、と呟いた。
月夜に輝く銀髪は、漆黒の黒に。
宝石のような輝きを持つ金色の瞳は、碧翠に。
妖怪の姿を隠す人間の姿。
それも桜の姿ではあるが、何とも気に食わなかった。
「姫様?」
「奴良組3代目、奴良リクオ様」
「………」
その名を口にし、その口元に笑みを浮かべる。
その笑みはとても妖艶だ。
「ふふっ……面白くなりそうですわね」
「…そうですね」
同意した青年の口元にも、笑みが浮かんでいた。
まるで遊びを始める子供のような、そんな顔。
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