□遊戯組
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大阪の山の奥の奥。




おぼろ車に乗っている桜の目に映ったのは、奴良組よりも遥かに大きい屋敷。




大きな門を潜り中に入ると、
遊戯組の妖怪であろう妖怪は様々な遊びをやっていて、楽しそうな顔をしている。




その様子を見て桜の口元にも笑みが浮かんだ。






『みんな、楽しそうです』












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妖怪に案内され、1つの座敷へと招かれた。


ここで待っているようにと言われ、正座をして待つことにした。




緊張して俯いていると、畳を踏む音が耳に入って頭を下げる。








『お、お初にお目にかかります。

宮羅組組長を務めている宮羅桜と申します』






緊張しながら、何とか挨拶をする。






「…桜様。お顔をお上げになって下さいまし」






上品な声音が耳に響き、そっと顔を上げた。






「ご機嫌麗しゅう。

わたくし、遊戯組組長の“舞姫”です。

お会いできて嬉しゅうございますわ」






『と、とんでもないでございます!』






彼女の口調につられた桜はハッと我に返って、恥ずかしそうに俯いた。

そんな様子をおかしそうにクスクス笑う舞姫という妖怪。




チラっと舞姫に目を向け、綺麗な妖怪だなと桜は思った。




緩くウェーブしたフワフワした金色の髪に、長い睫毛に紅茶色の瞳。


見るからに高価な着物。


まるで本物の姫君の雰囲気を纏った妖怪。














「噂通りお美しいですわ、桜様」



『と、とんでもない!舞姫様の方がとても綺麗です!』



「まぁ、可愛らしいお方」





扇子で口元を覆いながら笑う姿は、本当にお姫様みたいだ。


その姿が綺麗で、桜は見惚れてしまった。









「桜様は奴良組の姫でもあるのでしょう?まだお若いのにすごいですわ」





自分よりも少し年上ぐらいの外見の女の子に若いと言われ、戸惑ってしまう。





「私、桜様とお友達になりたいと思って文を渡しましたのよ」





彼女の言葉に、自分に文をくれた理由がようやく分かった。



疑問が晴れたことで、桜の口元にも笑みが浮かび、「私で良ければ」と答えた。






「嬉しいですわ!私の事はぜひぜひ舞姫とお呼び下さいまし!」



「はい。私のことも桜でいいですよ」





初めての妖怪で自分と同じ組長という立場の友達が出来たことに、
桜自身も嬉しいと感じていた。




もっと色んなことを話したかったが、外が暗闇に包まれつつあるのに気付き、
雪仁たちに心配かけてはいけないと思い立ち上がった。









『今日はもう遅いので帰りますね。急な訪問を快く受け入れて頂き感謝します』



「いいえ、宜しくてよ。またいらして下さいね」





そう言った舞姫は愛想の良い笑みを浮かべて、帰る桜に手を振った。











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宮羅組に戻れば、雪仁が出迎えてくれた。





「お帰りなさいませ。遊戯組はどうでしたか?」



『舞姫という妖怪はとっても綺麗で優しい方でした。
それで友達になって欲しいって…、同じ立場の友達が出来たのは初めてでとても嬉しかったです!』






意気揚々と話す桜に、「左様ですか」と雪仁も嬉しそうに笑った。






そして雪仁は気まずそうに話を切り出す。







「姫様、実は……姫様にお客様が…」


『お客様…?』






こんな夜中に誰だろうと思いながら、桜は客間に向かった。











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