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□あなたの元へ
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エクシード達は新たな未来のために飛び立って行った。





「うぉーし!俺達もギルドに戻るぞ!」


「みんなにどうやって報告しよう…」


『別に報告しなくていいんじゃない?』


「ルカの言う通りだ。みんなどうせ気づいてねーんだろ、今回の件」


「しかし、ミストガンのことだけは黙っておけんぞ」


「あの、みんな、手…」




右腕を断続的に上下に振るナディの癖が彼らにうつっている。




「リリーはどこだ!!?」




ガジルが捜しているエクシード。
彼もまたこちらの世界に来ているはずだが姿が見えない。




「オレなら、ここにいる」



『!!?』




聞き慣れた声…のはずだが、違和感を覚えた。





「「「「『ちっちゃ!!!』」」」」





並んだリリーはミストガンよりも大きかった。
なのに今はハッピー達と同じサイズまで縮んでしまっているではないか。


一体、何があったというのだ。





『ず、随分と可愛くなったのね、リリー…』


「どうやら、アースランドとオレの体格が合わなかったらしいな」


『そ、そうなの…』





…そういうものなのか。


内心で1人ツッコミを決め込む。





「オレは、王子が世話になったギルドに入りてェ。約束通り、入れてくれるんだろうな、ガジル」


「…もちろんだぜ!!相棒!!!!」


「っ泣いた!!?」


『(良かったねガジル。念願のエクシードが現れて…)』





自分にはメーベル。
ガジルにはリリー。
ドラゴンスレーヤー全員に相棒となるエクシードがついた。
マックスの商売も繁盛することだろう。





『リリー』


「ん?」


『これから宜しくね。エドラスでは色々とありがとう』


「姫…ではなかったな。うむ、こちらこそ、宜しく頼む。ルカ」





見知った顔の人間。
見知らぬ人ばかりの中で、親しかった人間だ。
















“リリー!抱っこして!抱っこ!”















無邪気で穏やかで、他人を思いやる優しい姫君。
自分の慕っていた姫ではないが、目の前にいる彼女もまた、姫と同じ部分はある。
王子が気を許していた相手なのだから。








「で、それとは別に、妖しい奴を捕まえたんだ」




リリーは持っていたロープを引っ張った。
その先に繋がれていた人がナツ達の前に姿を現す。




「ちょっと!私もフェアリーテイルの一員なんだけど!」




白髪に青目の少女。
彼女の姿を見てナツは目を見開きながら「リサーナ…」と呟いた。

グレイ、そしてエルザ、ハッピーもまたナツと同様の反応を示す。





『(リサーナって確か…ミラさんとエルフマンの、2年前に死んだ妹のはずじゃ…)』





ここにいるのはエドラスのリサーナなのか。


だが、彼女はナツを見て「また会えた」と言ったり、ハッピーを見て「覚えてる!?」と抱きついたり、グレイ、エルザを見て「懐かしい」などと言っている。




まさか、と思い、グレイがこっちのリサーナかと問うと、彼女は静かに頷いた。





彼女は死んでなどいなかった。
大怪我を負ったリサーナは、アースランドの所かしこに展開していたアニマに吸い込まれ、エドラスへと飛ばされた。
そしてエドラスのフェアリーテイルへと辿り着いた。
ギルドの雰囲気で理解した。
エドラスのリサーナは、すでに亡くなっていることを。
彼女は本当のことが言えぬまま、エドラスのリサーナとして生きることを決意したのだ。

戸惑うことも多かったが、皆に合わせながら、エドラスの生活にも慣れてきた。

だが、2年後のある日、アースランドのナツとハッピーがやってきたのだという。

だけど言えなかった。

ミラとエルフマンを悲しませないために、エドラスで生きていくと決めたのだから。

しかし逆展開されたアニマによって、体内に魔力を宿しているリサーナは吸いこまれた。







































カルディア大聖堂。
ミラとエルフマンがリサーナの墓参りをしていた。




「姉ちゃん、そろそろ行こう」


「…もう少し」




ミラは辛そうな笑みを浮かべている。
きっとリサーナのことを思い出しているのだろう。










「ミラ姉ー!!エルフ兄ちゃーん!!!」









忘れようのない声を耳にし、2人はゆっくりと後ろを振り向く。



こちらに向かってくるのは、2人が2年前に失った大切な者。



夢か何かなのか。





「うそ……リサーナっ…」





2人は雨にも負けない大粒の涙を流した。


ミラに抱きついたリサーナが、涙を流しながら「ただいま」と口にする。
会いたかった。
本当の姉と兄に。





「おかえりなさい」
















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