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□エドラス
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ルカ達がいた世界、アースランド。
そのアースランドの平行世界であるのが、エドラス。
『てか、ここどこ…』
見知らぬ土地に1人っきり。
王都に行けとミストガンに言われたが、それがどこにあるのかも分からない。
盛大なる迷子とはこのことか、などと自分ながら呆れてしまう。
『(ルーシィは来てるって聞いたけど……どこにいるのかな…?)』
1人より2人。
ルーシィだって1人で心細い想いをしてるに違いないと、ルカは1人で納得した。
『わっ…!』
考え事をしながら歩いてたせいで誰かとぶつかってしまう。
『す、すみません!』
すぐさま相手に謝るが、ぶつかってしまった相手の顔を見てすぐさま固まった。
「いえ、こちらこそ」
『ガジル!!?』
「え?」
『え?ガジル…だよね?え?えぇぇぇ!?』
混乱し過ぎて何を言ったらよいか分からない。
相手の顔は見知ったフェアリーテイルのガジルだ。
だが、彼はこんな髪をしていない。
言葉遣いも丁寧じゃない。
しかし、確かにこの顔はガジルだ。
「もしかして…、向こうの世界の僕さんのお知り合いですか?」
『向こうの世界の僕さん…?』
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彼の話だとガジルもこちらの世界に来ているとのこと。
そして彼から詳しい話が聞けた。
この世界に住む人々は体内に魔力を持たず、魔水晶を組み合わせた道具を魔法として使用する。
しかし魔水晶を消費し続けたことにより魔力の枯渇が進みつつある。そのため、王国軍以外の魔法所持が禁止されるようになった。
ここが重要。
“名前や容姿が同じ人物が存在している”
つまりは“もう1人の自分”が存在しているのだ。
こちらの世界のガジルはフリーの記者をやっているらしい。
『て、ことは、もう1人の私もいるってことか…』
「そういうことになりますね」
会ってみたいとも思う。
こっちの世界の自分はどんなのだろう。
『…な、何か違和感。ガジルなのにガジルじゃないみたい』
「そういうものですかね?」
アースランドのガジルは野生的、エドラスのガジルは知的。
まったく真逆ではないか。
ナツやルーシィはどうなっているのか、想像を働かせるが面白いことにしかならない。
『あ、そうだ。王都ってどこにあるか知らない?私そこに行きたいんだけど』
「王都?…ここが王都ですよ」
『え……』
唐突の言葉に思考が停止しかけた。
そしてもう1度確認のために「ここはどこか」と訊いてみるが、エドラスのガジルは「王都」だと答える。
どうやらいつの間にか目的地に着いていたらしい。
『いや、目的に着いたけど一体何をすれば…』
「あの高く見える建物に向かえば良いのだと思いますよ。
あそこには、この国の王がいます」
なるほど!っと明らかに閃いた顔をしたルカ。
そして椅子から立ち上がった。
『ありがとう、それじゃあ私行くね。
こっちの私に会ったら宜しくとでも言っといて』
「はい。では、またどこかで」
エドラスのガジルに見送られながら、王がいるという建物へと向かった。
今は何をすべきかよく分からないが、あそこには自分のやるべきことがあるような気がしたのだ。
ミストガンが「王都に向かえ」と言ったのにも何か理由があってのことだと思った。
『(待ってて!みんな!!絶対に助けるから!!)』
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