『闇の中の人形(マリオネット)』
□ギルド最強の魔導士
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フェアリーテイルは今日も賑やかだ。
「ウェンディもシャルルも大分このギルドに慣れてきたみたいね」
ルーシィがそう言うとウェンディは笑顔で「はい」と答えた。
「女子寮があるの気に入ったわ」
「そういえばルーシィさんやルカさんは寮じゃないんですか?」
「女子寮の存在、最近知ったのよ。てか、寮の家賃って10Jなのよね。
もし入ってたら払えなかったわ、今頃」
それに苦笑いしか浮かばない2人。
ルカは「う〜ん…」と悩んで、ウェンディの疑問に答えた。
『私は女子寮の存在知ってたけど、ルーシィ見てると「家賃が〜」ってなりそうだったから、お金のかからないギルド内に住み着いてるのかな』
「それあたしのせいなの!!?」
『だって、あの頃は働く気ゼロだったし…
ルーシィを見ていると、自然とそうなると思うよ』
ルカの回答にも、ウェンディとシャルルは苦笑いを浮かべる。
返答のしようもない。
「「大変だー!!」」
それと同時に鳴り響く鐘の音。
その鐘の音を聞いて、ギルドの様子が変わる。
「「「ギルダーツだー!!!」」」
そう叫び喜んでいる。
完全にお祭り騒ぎ。
「ギルダーツって、あたし会ったことないんだけど…
何者なの?」
『名前なら聞いたことあるけど…』
2人の疑問にミラが答えた。
「フェアリーテイル最強の魔導士よ」
「えぇ!?それってエルザよりも強いってこと!!?」
「私など、足元にも及ばんさ」
「ど、どんだけヤバい人なのかしら…」
周りの喜びように、ルカは更に疑問を抱く。
『でも、この騒ぎようは…』
「皆が騒ぐのも無理ないわ。3年ぶりだもん、帰ってくるの」
「3年も…、何してたんですか?」
「S級クエストの上にSS級クエストってのがあるんだけど、その更に上に10年クエストって言われる仕事があるの」
『10年クエスト…?』
「10年間、誰も達成した者がいない。だから10年クエスト。
ギルダーツはその更に上、“100年クエスト”に行っていた」
「100年クエスト!?100年間誰も達成できなかったってこと!!?」
「あぁ」
『凄い魔導士なんだね、ギルダーツって』
外に出てみると、街は「ギルダーツシフト」というものに変わっていた。
理由は、ギルダーツはクラッシュという魔法を使うので、触れたものを粉々にしてしまうので、ボーッとしていると民家も突き破って歩いてきてしまうらしい。
何ともハタ迷惑で、バカな話だ。
そのためだけに街を改造したのだから。
『(フェアリーテイル最強の魔導士……一体どんな人だろう?)』
そんな期待感を胸に抱きながら、ギルダーツを待つ。
そして、ギルダーツがギルドに辿りついた。
ギルド内を見渡し、何故か溜め息。
「おかえりなさい」
ミラが笑顔で言葉をかける。
「ん?お嬢さん、確かこの辺りにフェアリーテイルってギルドがあったはずなんだが…」
「ここよ。それに私、ミラジェーン」
「ミラ?……おぉ!随分変わったなお前!つかギルド新しくなったのかよー!」
そんな様子にルーシィは呆れる。
「外観じゃ気づかないんだ…」
『何か想像してたのと違うかも…』
「ギルダーツ!!!!」
そう叫んだのはナツだ。
再会の挨拶もすぐさま済ませ、ナツはギルダーツに殴りかかった。
ギルダーツは片手でナツをくるくると回し、天井へと投げ飛ばす。
ナツを軽くあしらう姿を見て、ルーシィやルカは絶句する。
「いやー、見ねェ顔もあるし、ホントに変わったなー」
「ギルダーツ」
「おぉ!マスター!久しぶり!」
「仕事の方は?」
「あー……あははははは!!……ダメだ。俺じゃ無理だわ」
それに皆が驚愕する。
まさかギルダーツが失敗して帰ってくるなど誰も思わなかったからだ。
「(フェアリーテイル最強の魔導士でも無理って……何なのよ、100年クエストって…)」
「100年クエストはまだ早い。止めておけ!」
「あっれー!!?ワクワクしてるように見えましたー!!?」
『私はワクワクしてきた!フェアリーテイル最強の魔導士でも成功出来なかった100年クエストに!!』
「いや、ワクワクするようなものじゃないでしょ!!!しちゃダメでしょ!!」
『だから、行く時は一緒に行こうね!ルーシィ』
「あたしの話聞いてましたー!!?」
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