『闇の中の人形(マリオネット)』

□希望の名
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1番ラクリマ。



ナツが行った所にはやはりゼロがいた。



ゼロと交戦するナツだが、ゼロに必死に食らいついていくだけで精一杯といった感じだ。

































そして、突如として別方向からナツに炎の攻撃が繰り出された。








後方に飛ばされながらナツは炎が飛んできた方を見て目を見開く。






青い髪に右顔を覆うタトゥー。






忘れる筈がない。





そしてナツは叫んだ。










「ジェラール…!!!」







彼の姿を目にしたゼロが口元に弧を描く。






「貴様…記憶が戻ったのか」



「あぁ」









「っにゃろう…ジェラールー!!!」







ボロボロの体を起して、ジェラールのに向かっていく。



その顔は怒りで満ちている。






「ナツ」






手をナツの方に向け、再び炎の魔法をナツに向かって放つ。






「俺に炎は利かねェぞ!!!」




「知ってるさ。
思い出したんだ。“ナツ”という……希望を」




「何っ!?」





ジェラールの言葉に目を見開いたゼロ。



彼は自分が知っているジェラールではない。









「あぁ!?」




「炎のドラゴンスレーヤー、その魔力は炎の力で増幅する」




「…炎の、力で…」





ジェラールの後ろから足音が近づいてくる。




そして姿を現したのは、





『ジェラール!歩くの早いって…!』




「ルカ!!」



『ナツ!!(良かった…ナツだ…)』





ゼロは赤い瞳にジェラールを映す。





「貴様、完全に記憶が取り戻してはいないな?」




「言った通り、ナツを思い出しただけだ。
ニルヴァーナは止める。
俺のやろうとしている事は変わらんぞ、ゼロ」




「何だよ?記憶って」




未だに敵意むき出しのナツが彼に問いかける。


ルカが事情を説明しようとしたら、ジェラールが彼女の口に手の甲を当てた。





自分で言うということだ。








「俺には、この地で目覚める以前の記憶がない」




「なっ!?」




「最低のクズだったことは分かったが、自覚がないんだ。
どうやら君やエルザ、ルカを酷く傷つけたらしい。

だが今はウェンディのギルドを護りたい、ニルヴァーナを止めたい。

君達の力になりたいんだ…!」










ふざけんなーっ!!!!








『ナツ…!?』









ナツが一気に距離を詰めてジェラールの顔を殴った。









「あの事を忘れったっていうのか!?
なに味方のフリしてんだ!!テメェ!!!」






「頼む、ナツ。今は炎を受け取ってくれ!」







その言葉に耳を傾けず、ナツはジェラールの胸倉を掴んだ。






『ナツ!!落ち着いて!!』






ナツを宥めようとするが、ナツは完全に頭に血が昇ってしまっているしでルカの声が届かない。



どうすれば、ナツの怒りを抑えられるのか。






「俺は忘れねェ……エルザの涙…ルカの涙を…

お前がッ…お前が2人を泣かせたんだ!!!」





「っ……」





『(ナツ…)』






仲間を傷つけたジェラールが許せないんだ。



ナツの気持ちを分かっていても、
その言葉は今のジェラールを追いつめるだけ。














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