『闇の中の人形(マリオネット)』

□タイムリミット
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そしてウェンディは自分のことをジェラールに話した。





「ウェンディ・マーベル……俺の知り合い…だったのか?」




ウェンディは静かに頷く。




「もしかしてあんた、ニルヴァーナの止め方まで忘れてるんじゃないでしょうね!!?」




シャルルの問い詰めに、ジェラールは言葉を詰まらせた。


彼にニルヴァーナを止める術がない。


止めようとしていたが、ブレインによって阻止されてしまったのだから。




『…シャルル、あんまりジェラールを責めないであげて』



「っでも…!」



「…もはや、自律崩壊魔法陣も利かない。
これ以上打つ手がないんだ。
……すまない」



「そんな…」




ジェラールの言葉に、ウェンディが漏らした言葉。


もうこれ以上打つ手がないのなら、ウェンディ達のギルドは…




「ちょっと待ちなさいよ!!
それじゃ私達のギルドはどうなるのよ!?もうすぐそこにあるのよ!?
今すぐ止めないと…!!」





突然、起きた地響き。


何が起こったのか確かめる為に、見晴らしのいい所まで移動した。




そして目の前にあったのはウェンディ達のギルド、化猫の宿(ケットシェルター)。





そしてニルヴァーナが集めている魔力を感じ、





『まさか……ニルヴァーナを撃つつもりなの!?』



「そ、そんな…」




どんどん集まっていく魔力。





「っ止めてェェェェェ!!!!」





ウェンディの悲痛の叫びが木霊する。







そしてケットシェルターに向けてニルヴァーナが放たれた。




























もうダメだ。


そう思ってしまった―――。





























しかしニルヴァーナの足目がけて空から攻撃が放たれ、
ニルヴァーナからの攻撃が外れた。










次々と空からニルヴァーナに攻撃が放たれた。












空を見上げれば、





















『クリスティーナ!』




六魔将軍(オラシオンセイス)に撃ち落とされた筈のクリスティーナが飛んでいた。




「味方なのか…?」



『大丈夫、味方だよ』






そして脳内に念話の声が聞こえた。






〈誰か返事を…無事なら返事をしてくれ!!〉



『ヒビキ…!』



〈その声はルカ!!それにエルザさん!ウェンディちゃんも無事なんだね!〉



〈私も一応無事だぞ…メェーン…〉



〈先輩!!良かった!!〉






「どうなっている?クリスティーナは確か撃墜されたはず」



「まだ飛べたんですね!」






〈あぁ、何とかね。

僕達は即席の連合軍だけど、重要なのはチームワークだ。

奴らにやられた時に壊れた翼はリオン君の造形魔法で補い、バラバラになってた船体の方はシェリーさんの人形劇とレンの空気魔法で繋ぎとめているんだ。
さっきの攻撃はイヴの雪魔法さ〉





『みんな…』





無事でよかった。


ルカの安堵した表情を横目で見て、ジェラールの口元にも笑みが零れた。





「ありがとう……ありがとう、みんな…」





瞳に涙をためて、ウェンディは感謝の言葉を口にした。






『(でも…、もう少しで……クリスティーナは…)』





目が良いルカには見えていた。


クリスティーナの氷の羽にヒビが入っていると――――…









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