『闇の中の人形(マリオネット)』

□タイムリミット
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オラシオンセイスが全員倒された。




その結果、ブレインが「六魔将軍」のメンバーとの生体リンク魔法によって封印していたもう1つの人格。







“マスター・ゼロ”が復活した。








破壊を好む彼は、ナツ、ルーシィ、ハッピー、グレイを倒す。



























そしてニルヴァーナはケットシェルターの目の前まで来ていた――。


















***** ***** ***** *****










「っ…」




顔を歪めたジェラールを横目で見て、




『傷、痛むの?』




そう尋ねれば、ジェラールは微笑みながら「大丈夫だ」と言った。


やせ我慢をする彼のことだ。

無理をしても大丈夫と言うだろう。

それを理解しているルカは、「無理しないでね」と念を押す。



ジェラールはルカを見ながら目を細める。




『何?』


「君は……優しいんだな」


『なっ…』




急に言われたことに、頬を赤く染める。


そして冷静を装いながら、




『私は、ジェラールが心配なだけなんだよ』




そう。

ただそれだけ。




2人の様子を見ていたエルザがポツリと呟いた。




「いつまで……」


『……?』


「ルカや私は…戦いの巷に身をおき続けるんだろうな…」






―ルカは幸せになるべきだ。





戦いに身をおき続けているかぎり、彼女は悲しい想いをするばかり。


そして泣くんだ。


その涙を拭ることは出来ても、
心に出来た傷までは癒すことは出来ない。






「(今のお前を見ていると…)」






この先の未来、またお前は泣くだろう。

そして自分も。






そんなことを思った。




予想に過ぎなければいいのだが、とも思いながら、目を閉じる。






『エルザ?』







急にどうしたのか尋ねようとした時、



















「ジェラールー!!」




こちらに向かっているのはルカと同じドラゴンスレーヤーの少女、ウェンディ。


そしてハッピーと同じ羽が生えたしゃべる猫、シャルルがこちらに向かっている。





「ウェンディ!」


『良かった、無事だったんだね』


「はい!」




2人の無事を確認して、安堵する。



そしてウェンディはジェラールの方へと向き、笑顔で彼の名を呼ぶ。




「君は…」




困惑したジェラールの言葉を聞き、目を見開いた後に悲しそうな顔をする。




「(やっぱり、私のこと…)」



「ジェラールは記憶が混乱している」



「…!」



「私のこと、ルカのこと、君のことも覚えていないらしい」



『……』




そこでようやく理解した。




「(記憶……そっか…それで…)」




ウェンディの様子を見ていたルカは、彼女に同調した。




『(忘れられるって切ないよね)』





だけど、
もし楽園の塔のことを思い出したら、
ジェラールは今と違くなってしまうのか。
また敵対しなければいけなくなるのか。



そこが怖い。




ぎゅっと拳に力を込める。





『(それでも…)』













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