『闇の中の人形(マリオネット)』

□生きろ
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『ジェラール!!!』






すぐさまジェラールの元へと走る。



ジェラールの傍まで辿り着くが、彼の胸に浮かび上がった自律崩壊魔法陣がどんどん広がっていっている。






『っ…このまま死んだら許さない……また死ぬことなんて私が許さない!』






横たわっているジェラールの胸倉を掴みそう叫ぶ。







“死んでしまう”




あの時の感覚に襲われた。


ジェラールを失ってしまった虚無の感覚。





そんな感覚を、もう1度しなければならないなんて…

そう考えるだけで心臓を握り潰されているかのように痛くて、苦しくなる。








ジェラールの薄らと開いた目は、光が失われつつある。









『生きろ!!罪を感じるなら生きて足掻け!!ジェラール!!!』






必死に生きてと叫んだ。



みっともなく涙は目からポロポロと流れ続け、今の自分の顔は酷いものだろうと思った。







「……ルカ……また、泣いてるのか?」



『っ誰のせいよ…』




拭っても拭っても涙は溢れるばかり。


いつも自分を泣かすのはジェラールだ、とルカは思った。






「優しい、な…」





微かに笑みを浮かべた後、再び目が閉じられた。




体から力が抜けたみたいにジェラールの体が重くなっていく。







『ジェラール!!しっかりして!!』

























「これは一体何事か」






後ろから第3者の声が聞こえ、振り向くとブレインが立っていた。




そしてブレインは何が起こっているのか理解したらしく、自律崩壊魔法陣と呟いた。









「ジェラールが組み込みやがった!!マズイぜ…このままじゃ折角のニルヴァーナが消滅しちまう!!」






コブラの言葉を聞いたブレインは、口の端を吊り上げた。




そして崩壊に向かっているニルヴァーナへと歩いて行く。






「案ずるなコブラ、私がなぜ“ブレイン”というコードネームで呼ばれているか知っておろう。

私はかつて魔法開発局、その間に我が知識を持って作りだした魔法は数百にものぼる。


その1つがこの……“自律崩壊魔法陣”。


私がうぬに教えたのだ、忘れたのか?ジェラール」









そしてジェラールの胸に浮かび上がっている魔法陣に気づくと、微かに目を見開いた。






「自らの体にも自律崩壊魔法陣だと?
解除コードと共に死ぬ気だったということか」




「どうやらエーテルナノの影響で記憶が不安定らしい。
どうやら自分が悪党だったことも知らねェみてーだ」





「ふっふふふ……何と…“滑稽”な」







見下したような目をジェラールに向けるブレイン。



エルザはキッとブレインを睨んだ。







「解除コードなど無くとも、魔法陣そのものを無効化出来るのだよ。私は」






魔法陣に手を伸ばした途端、魔法陣が光り、陣が崩れていく。






『そんな…!』







「ふっふふふふふ……哀れだなジェラール、ニルヴァーナは私が頂いた!!」





「っさせるかァ!!!」






エルザがブレインに向かっていくが、地面が盛り上がって行く手の邪魔をした。







「目覚めよニルヴァーナ!!!!」







眩い光が視界を奪い、足元が崩れていく。




ニルヴァーナが、復活したのだ。



足元が完全に消え、重力を支えるものを失くした体は下へと落ちていく。







「ジェラール!!ルカー!!」





エルザが腕を伸ばして、2人の腕を掴もうとしている。






『エルザ!!』







ルカも必死に手を伸ばす。





届け!と必死に思いながら、手を伸ばした。










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