『闇の中の人形(マリオネット)』

□青髪の青年、会いたかった…
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「お前がこのゲームに参加するとは思ってもいなかったぜ」




「今すぐ神鳴殿を解除すれば、まだ余興の範疇でおさまる可能性もある」




『っ…!!?』





ミストガンの声を聞いて息を呑む。






聞き覚えのある声。



忘れようのない声が聞こえた。







『(違う…、あの人は……一体誰なの…?)』













「御目出度いねェ」





『(一番御目出度いのはお前だよ)』





心の中で悪態をついた。


ラクサスみたいな相手だと、どうも口が悪くなってしまう。







「知ってんだろ?フェアリーテイル最強は誰か……オレかおまえかで噂されてることは」





「…興味はないが、エルザもいるだろう?」





「アイツはダメだ、いい線はいってるがまだ弱い」





「エルザが弱い?とんだふし穴だな、お前の目は」






『本当よ。そんなに自信があるなら、エルザと戦って勝ってから言いなさいよ!!』





ようやく呂律が回るようになり、ラクサスを睨みながら怒鳴る。



ラクサスに怒る理由は、仲間を見下しているから。

それだけではないが、それが大きな理由になっているだろう。









「フンッまだそんな威勢を張れるたァ…将来有望だな。
今潰しちまうのは勿体ねェ」






顔を掴まれた。



すぐさま振り払いたいが、先ほどまでではないにしても、未だに体が痺れて上手く動けない。


ルカは動けない体の代わりにギッと思い切りラクサスを睨んだ。






「…その手を放せ、ラクサス」




低い声が耳に入る。


姿を見ないと錯覚してしまいそうになり、自分の心が揺れているのに気付いた。





『(どうして……)』





「ほぉ……この女が他の誰かに触られるのが嫌なのか?ミストガン」





このまま餌にされるのも癪なので、必死に体の感覚を取り戻してラクサスの手を振り払う。



そしてラクサスと距離を取った。



ミストガンの方を向けば、ミストガンの僅かに見える目がルカへと向けられ、視線が合う。





『……?』




彼の目を見て不思議に思った。





その目は、

何か懐かしむようなものに思えたから―――…









「フンッ…今、このフェアリーテイル最強の座は俺かお前のどちらかなんだ。

白黒つけようぜ?最強の座をかけて、ミストガン。

いや……アナザー…」







「!!!!!」








ミストガンが目を見開き、ラクサスに向かって攻撃した。

ラクサスは雷で防いだ。


教会の窓ガラスは全て割れ、粉塵が舞う。







『けほっけほっ…』





軽く咳き込み、2人へと視線を戻した。





『(まったく…さすがはフェアリーテイルの魔導士……無茶苦茶だわ…)』







「…お前……その事をどこで知った?」





ミストガンから異様な程の圧迫感が。



さっきまでの雰囲気とは全然違う。










「おっと…珍しいねェ……おめぇが慌てるなんてよォ…
どこで知ったかァ?…さぁね、俺に勝てたら教えてやろうか」





「後悔するぞ、ラクサス。お前は未だかつてない魔法を見ることになる」





「怖い怖い…ま!頑張って頂戴よォ…格の違いをみせてやっからよォ!」










『(私、離れてた方がいいかな…)』






身の危険を感じ、急いで2人から距離を取る。








カンッカッカァンッ!



杖を出し、床へと刺した。







「“摩天楼”」






教会が破裂した。




これは……“幻覚”だ。








『(凄い……こんな強力な幻覚を使えるなんて…)』





そしてミストガンを見て、やはり不思議に思うのだ。





『(ミストガン、あなたは本当に…何者なの…?)』
















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