『闇の中の人形(マリオネット)』

□過去、いつまでも…
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ルカはドラゴン
に育てられた。




そのドラゴンの名は“水竜・ウィズアース”。




心優しいドラゴン。






しかしウィズアースは七年前に突然ルカの前から姿を消す。






突然のことでルカは戸惑った。


親が自分を置いてどこかに消えてしまったのだから…





行くあてもなく、ウィズアースを捜した。




『ウィズアース……どこにいるの……ヒック…どこ行っちゃったのっ…』



泣くことしか出来ない。


泣きながらどこに行くか分からない道を進んだ。




「何で泣いているんだ?」



『……!』




そんな彼女の前に現れたのは、まだ年端もいかない少年だ。

青い髪に顔の右側を覆う大きなタトゥーという容姿をしている。



“ジェラール・フェルナンデス”という男だった。




そして彼は行くあてのない彼女を楽園の塔へと連れて行く。





「俺は“ゼレフ”を復活させる」




楽園の塔についた途端、彼はそう言った。






“ゼレフ”という名を聞き、心が揺れる。


夢の中で語りかけていた男が最後に言った名だ。


涙を流しながら「見つけて」と言っていた。


彼に会ってみたいとも思う気持ちは確かにある。






だが…


彼がやろうとしてる事が、危険な事だと幼いながら野生の勘のようなもので何となく分かったからこそ…





『少し、考えさせて…』




「あぁ、いつでもいいぜ」





彼に背を向け、楽園の塔を後にした。




だけど行くあてはない。



またどこに向かっているのか分からない道を歩き続ける。







「あれれ?お嬢ちゃん、こんな所でどうしたの?」




男たちがルカに話しかけた。



ルカは不思議そうに彼らを見上げる。



男たちは口の端を吊り上げて、言う。





「行くところがないなら、ウチのギルドにおいで」






ルカに話しかけたのは…






































“闇ギルド”だった。








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