『闇の中の人形(マリオネット)』

□水竜の涙
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《ルカSide》









何が正しくて、何が正しくないのか…





私には分からない。








ゼレフは私に呼びかけた。


あの声は悲しそうで、寂しそうで、苦しそうで…

助けてあげたいと思った。


そう思ったからこそ、ゼレフを捜した。


彼に会って、訊きたいことがあった。





ただ、それだけだった。







**** **** **** ****







「Rシステム作動の為の魔力が手に入った。

後は生け贄があれば“ゼレフ”が復活する」




ジェラールがエルザに近づく。





「うっ…あぁぁっ…」




『っ…』




エルザの苦しむ声を聞いて、更に心が揺れる。





『(体が、動かない…)』





だけど、このままじゃ…


エルザが…









『ジェラール…!

エルザを……殺さないでッ…!』





無意識に出た言葉。


これが自分の気持ちだ。






ジェラールが大切。

それも本当だ。



だけど、私にとってそれと同じくらい…

フェアリーテイルの皆も大切になっていた…




天秤にかけることなんて出来ない。





「………」



一瞬だけ迷ったようにジェラールの動きが止まったが、ジェラールは何も言わずにエルザを魔水晶の中へと…






『ジェラール…!!』





「偉大なるゼレフよ、今ここに、この女の肉体を捧げる」






『止めて――っ!!!』




叫んだ。


私が決断するのが遅すぎた。







































「おっと!」



聞き覚えのある声に顔を上げた。




『ナツ!!』




ナツがエルザを魔水晶から引き摺り出す。





「エルザは妖精の尻尾の魔導士だ、渡さねーぞ」



「…ナツ…」



エルザも驚いたような顔をする。


ナツはエルザを床に寝かせた。





「たくっ……なーにしてんだよ?」



「ナツ……今すぐここを離れるんだ」



「ヤダね、お前が戦えねぇなら俺が代わりにやってやっからさ」




「止せ……相手が悪い…

お前はアイツを知らなさ過ぎる…」




「知らねえと倒せねえもんなのか?」



「…頼む……言うことを聞いてくれ…」




エルザは涙を流す。


そんなエルザを、ナツがよいしょと抱えた。




「エルザ、俺もお前を全然知らねぇ」




「……?」




「でも……勝てる!!」





―ガッ!!






『……!?』






ナツがエルザの腹を思いっきり殴り、気絶させた。







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