『闇の中の人形(マリオネット)』

□敵襲来?
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『レオ、もう大丈夫なの?』




ルカは1人の青年に声をかけた。




「え〜と……今の僕は“レオ”じゃなくて“ロキ”だからね」



『…そうだったね』





彼は黄道十二門の星霊の1人、獅子宮の「レオ」


またの名を「ロキ」






かつて「青い天馬」の魔導士カレンと契約していたが、カレンのやり方が気に入らず、星霊界に戻らないという手段に出た。




それが3年前…





**** **** **** ****





『レオ』



「!…ルカ、か…」




彼女の姿にほっとした。

そしてカレンでなかったことに少し残念にも思った。



その心情を察したのか、ルカは悲しそうに訊ねた。




『カレンはまだ解放してないんだね…』





その問いに答えることが出来ない。



ルカはそれが肯定だと思うと、レオの前に袋を置いた。





「これは…」



『お腹空いたでしょ?だから、食べ物を持ってきたの」




星霊が何を食べるか分からなかったルカは、袋いっぱいに色んな食べ物を持ってきた。





「…ありがとう」




そんな彼女の気遣いが嬉しいと思える。





『レオ、無理しないでね。あなたもブルーペガサスの仲間なんだから』



「!」




星霊である彼を仲間という者は珍しい。


むしろ初めてだった。



所有者のカレンは自分達を道具にしか思っていない。

だが、彼女は…

そんな自分達のことも仲間だと思ってくれている。




『じゃあ、私は行くから』



「…あぁ、本当にありがとう」




目を手で覆い隠しながら礼を言った。


その手は涙でぬれていた。









**** **** **** ****





しかしカレンはそれでも契約を解除せず、遂には死んでしまう。


そのため、星霊界への帰還を禁じられてしまい、青い天馬から出て行ったと思ったらこんな所で再会した。



契約者のいない星霊は人間界に長期間存在できず、遂に魔力が限界を迎え消えかけた際、ルーシィの言葉により出現した星霊王の懐の広い判決によって再び星霊界に戻れるようになったらしい…












「しかし、相変わらず可愛いね。これからデートしない?」





あの時のレオがこんな男になるとは誰が想像しただろう。



この3年間で悪い方向に成長したようだ。





『ヤダ、1人で行けばいいじゃん』



「う”…」




彼は軽い調子だが、心配になってしまう。




『……もう、大丈夫なの?』




再び問いかけた。再確認のためだ。


そんなルカにロキは静かに微笑んだ。





「星霊界に戻れるようになったんだ。もう心配いらない」




『良いオーナーが見つかって良かったね』




「!…うん」







ルカはカレンの事が余り好きではなかった。


カレンに物のように使われていた白羊宮のアリエスが可哀相で仕方なかった。



でも、家族が死んだ時は悲しかったんだ。



悲しかったけど、レオを怨んだ事は1度もない。


レオだって、殺したくて殺した訳ではなかったのだから。


あの3カ月間。

レオは慣れない人間界ですごく苦しんでいたことをルカは知っていた。














「君もフェアリーテイルに入ったそうだね、ルカ」





『…うん』




少し嬉しそうに微笑む。


そして項に触れた。


ルカの項には青いフェアリーテイルの紋章がある。



それはフェアリーテイルの一員である証。











「そうだ、これ」



ポケットから出したのはチケットのようだった。



それをルカに渡す。




『…アカネリゾートのチケット?』




「エルザ達にも渡しておいたから、皆で行っておいで」




『!…ありがとう、ロキ』





彼は彼。

昔も今も変わらない。


星霊だけど“仲間”。


人間も星霊も関係ないんだ。











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