弐
□売り言葉に買い言葉
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翌日。
手紙を送り返事が来たので、桜とリクオは遊戯組に向かっている。
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「お待ちしておりました。桜様、そして奴良リクオ様。
私は舞姫様の側近、“玖音(くおん)”でございます」
出迎えに来たのは夜リクオと同い年ぐらいの容姿をした妖怪だった。
純白の髪に、紫の瞳。
顔立ちはとても端整で、一言でいうと“綺麗”という言葉の似合う妖だ。
「舞姫様がお待ちです」
桜たちは前を行く玖音の後をついて行く。
丁寧に案内してくれる玖音は落ち着いていて、
雪女もこんな風に最後まで案内出来たらな、なんて思ったり。
「なぁ、玖音…つったか?」
「何でしょう、奴良リクオ様」
「遊戯組のシマには何か結界が張ってあるのかい?」
『(そういえば、昼なのにリクオ様の姿が…)』
昼にも関わらず、彼の姿は人間には戻らず、妖怪の姿のままだ。
「奴良リクオ様は半妖……いえ、妖の血を4分の1しか継いでおりませんでしたね。
遊戯組のシマには確かに結界が張ってあります。
妖気を満ちさせるのも目的の1つですが、人の目を欺くというのが1番の理由なのです。
宮羅組も同じだと思いますけど、違いますか?」
玖音の言葉に、桜は黙り込んでしまった。
「人間は、好きじゃないですね」
雪仁が言った言葉。
どこか人間を嘲笑っているかのような顔。
いつもの雪仁と違っていたので、よく覚えていた。
『(やっぱり、みんな人間が嫌いなんですね…)』
ふと、悲しくなった。
悪い人間もいるかもしれない。
だけど、決して悪い人間ばかりじゃないんだ。
人間と共に生きることだって出来る。
そう、桜は思っていた。
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