『闇の中の人形(マリオネット)』

□水竜の涙
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「流星(ミーティア)!!」




ジェラールのスピードが速くなり、今度はナツが追い詰められる。




「ぐはっ!」





『ナツっ!!!』




ルカはエルザの元まで何とか辿りつき、エルザを座りながら抱えていた。




「止めだ、お前に本当の破壊魔法を見せてやろう」



そう言い、ジェラールは飛び上がる。




「七つの星に裁かれよ」



『!!…ナツっ!逃げて!!』




ルカはその魔法がなんなのか分かり、ナツに叫ぶ。




しかし、遅かったようだ。






「七星剣!グランシャリオー!!」





その魔法はナツに直撃した。



ナツは倒れて動かない。






「隕石にも相当する破壊力を持った魔法なんだがな……よく体が残ったもんだ…

少しハデにやり過ぎたか…

これ以上Rシステムにダメージを与えるのはマズイな、魔力が漏洩し始めている…

急がねば…!」





『ビクッ)』





ジェラールと目が合い、自然と体がこわばる。



今のジェラールの目に自分は映っていない…


そう思うと、彼が怖かった。






「さぁエルザをこちらに渡せ、ルカ…」





ジェラールが近づいてくる。


ルカはエルザを抱えている手の力を強くした。

そして、首を横に振る。




『ダメ!エルザは死なせない!!

お願い、ジェラール……目を覚まして…』




今のジェラールは自分が知っているジェラールとは違う。


ルカが知ってるジェラールは…

もっと優しくて…

こんな冷たい目をしていなかった。




しかし、ジェラールは彼女の拒絶を受けてもルカに手を伸ばした。





『(ジェラール…っ!!!)』





ぎゅっと目を瞑り、心の中で彼の名を呼ぶ。









―コンコンコォーン…



何かが床に転がる音が響き、ルカは目をそっと開いた。




『…ナツ?』




ナツがジェラールにラクリマの欠片を投げている。





『(もうフラフラじゃない…)』




それでも、ルカ達を護るようにラクリマの欠片をジェラールに投げる。








―がっ…



欠片がジェラールに当たった。





「へ、へへ……当たったぞ攻撃……」





『ナツ…』





彼の状態を見て、切実に願う。







もう止めて欲しい。


これ以上戦ったらナツが死んでしまう。


ナツに死んで欲しくない。





ルカは声に出ない願いを心の中で思った。







「この塔っつーかラクリマ?壊されちゃマズイって訳か…」




「!!」



ジェラールはナツが何をするのか分かったのか目を見開いた。





「運が無かったなっ!!」




ナツが床を殴る。





―ピシッピシッ!!



殴られたところから床にビビが入る。









「壊すのは得意なんだ……フェアリーテイルの魔導士は…

燃えてきたぞ…今までで最高にだ!!」






「このガキがぁっ…!」











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