短編集

□蜂蜜のハチミツ漬け
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『あのな…蒼。俺がセリフで"口あけろ"って言った時、なんで本当に口開けるんだよ…他のやつにそんなことしたら、勘違いされて本当にされるぞ…』
俺は深い溜息が漏れた。

確かに俺の言うことに素直に従う蒼はかわいい。でも、別のやつにそんなことしているなら話は別だ。
俺だけの蒼にしたいかった。俺以外のやつに見られるのも、俺以外のやつと話すのは本当は嫌だった。
部屋に閉じ込めて俺だけのものにしたい。
無理だと分かっていても、願望が消えることはない。
『しないもん…したことないじゃん。雅樹以外…』
ほっぺをぷくっと膨らまして、俺に凭れて、俺の左腕に腕を絡ませ上目遣いをしてくる。
『なに?甘えてるの?』
笑いながら問うと顔を真っ赤にしてコクリと頷く。
そんな姿がかわいくて、頭を軽くポンポンと叩いた。

すると、蒼は俺の足と足の間に座り目を瞑ってキスのおねだり。
どこでそんなかわいいこと覚えたんだ。
蒼は昔から俺の弱いところを手に取るように分かるのか、いつも俺の心を鷲掴みにする。
俺は蒼の後頭部に腕を回し、優しくキスをする。最初は優しかったキスもだんだん深くなってきた。
重なったくちびるを離して"口あけろ"低い声で囁く。
蒼は真っ赤に顔を染めて少し口を開ける。その仕草が可愛くて俺は日がくれるまで蒼を離さなかった。




『くちびるを食べられたみたい』
蒼は俺の肩に顔を沈めて乱れた息を整えながらゆっくりと話す。

『こんなんで音を上げていたら、この先どうするんだよ』

俺が笑いながら言った言葉がわからないのか首を傾ける。

そんな鈍い所も可愛い。
俺は蒼の耳朶を甘噛みして"セックスってこと"と耳もとで囁くだけで真っ赤に染まっていく顔…本当に可愛い。
『そんな可愛い顔してたら本当に食べちゃうよ。』『可愛い。愛してるよ。』
俺は蒼の耳もとで甘い言葉を吐き続けた。
その度顔を真っ赤に染める蒼に時々キスを落とし、

俺たちはいつの間にか夢の中に沈んでいた。
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