短編集

□信頼という名の鎖
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それは僕の13歳の誕生日だった。
海外に拠点を置く大会社の社長の父とそんな父を支える母は一年に数回しか日本に帰ってこない。
それは僕の誕生日も例外では無かった。
10歳の誕生日も12歳の誕生日も1人だった。
いつも1人だったから、何も不自由では無かった。
小さい時は自分の誕生日にプレゼントだけ山ほど贈ってくる両親に腹だたしかった。
けれども、歳をかさねるごとにどうでも良くなっていった。
今年の誕生日も家政婦が作ったケーキを1人食べるのだろう、と思っていた。

僕はその日、宅配便の届く音…
インターホンの音に目を冷ました。
僕は印鑑を持ちドアを開けると父の秘書と知らない男の人がいた。

『おはようございます。瑞希様。
今日は貴方様の誕生日プレゼントをお届けに来ました。これは貴方の奴隷でござい。"ストレス発散にでも使え。"と社長から伝言を預かって来ました。それでは、私も仕事があるので…
失礼します。』

台風のように帰って行く父の秘書に何も言えず、僕は知らない男と2人きりになってしまった。

『とりあえず、中に入って下さい…。』

僕はどうすることも出来ずとりあえず中に通した。
リビングに来ても座ることもなく微動だにしないまま背筋良くまっすぐ立っていた。

『あの…座って下さい。』

僕の声と同時に僕から離れたところに正座をする。

『あの…お名前を聞いてもいいですか…』

僕はどことなく舌足らずになってしまった。

『瑞希様。私に敬語はお辞め下さい。私に名前はありません。瑞希様のお好きなようにお呼び下さい。私は瑞希様の奴隷でございます。』

私は奴隷ですからお好きなように…と言われてはいそうですか、などと簡単には収集がつかない。僕はそのまま黙り尽くしてしまった。


to be continue…

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