長編

□Sweet Lemon
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(side柚斗)

チュンチュン…

もう朝だ…。俺は朝必ずすることがある。それは大好きな幼なじみを起こしに行くことだ。俺は毎朝6時に起きて幼なじみのところに行き、幼なじみがおきる6時30分まで寝顔をみるのを日課としている。

"うぅ…今日は寒いなぁ…"
俺はいつも空いている窓から部屋に入る。このぐっすり寝ているのが柊 柚季
(ひいらぎ ゆずき)俺が大好きな人だ
中学に上がり中2の夏ぐらいからゆずの俺に対する接し方が変わった…。俺の前で笑わなくなった。大好きな笑顔が見えなくなった。そして冷たくなった気がする…。でもいつでも俺を1番側に置いてくれる。だから耐えられた。
正直泣きたくてどうしようもない夜もあった。誰にも相談できない。秘密の片思い…。その恋の行方なんてないことはわかっていた。けど…好き、ただ側に居たいその気持ちに1%の曇りはなかった。愛されなくてもいいただ愛したかった。寝ているゆずに顔を近づけ触れるか触れないかギリギリのキスをした。温かかった…

『ゆーずー朝だよ。今日雪降るって!
通りで寒いわけだよ!』

俺はゆずに笑顔になって欲しくていつもテンション高く振舞った。
少しでも俺がゆずの側にいる理由が欲しいから俺が出来る精一杯の笑顔を作る。

『朝からうるさい。毎日毎日朝から家来んな!正直めんどい。』

まただ…。
ゆずは俺が笑うと不機嫌になる。そんなに俺のこと嫌いなのかな
涙がこぼれそうだった。俺はこんなにもゆずが好きなのに…

想いは届かない。

『ご、ごめん…そうだよな!明日からは来ないよ(笑)』

俺は再び笑顔を作り言った。本当はこんなこといいたくない。朝30分ゆずの側にいることがない朝はただ辛いだけだから。でも…ずっと側に居るには…
少しでも嫌われないためにはこれしか思いつかなかった。

『早く用意しろ!学校行くぞ。』

ゆずは俺の言葉に触れることもなくただそう答えた。なぜだろう…。いつもならこんなことへっちゃらなのに今日はとてもしんどい。上手く笑えない。

『あははは(笑)ごめん。今すぐ用意するよ!少し待って。』

"ごめん"以外の言葉が思いつかなかった。潤む目をこすりながら俺は急いで学校へ行く準備をした。
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