キセキの始まり
□8Q
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ふぅ、何か騒がしいなぁ。
「ただいまー」
「騒がしいが、どうかしたのか?」
「あれ?誰、あの子」
「あ、おかえりなさい。皆」
買出しに行っていた私達、女バスを出迎えてくれたのはリコちゃんだった。
プールサイドには騒がしさの原因とも言える誠凛男子バスケ部達。
それで彼らの視線の先には見覚えの無い女の子。
「あら?常磐さんと銀さんは?」
「スゥは火神に会いに差し入れ持ってくって」
「銀は野暮用があるだとかで、昼練には出るらしい」
「そっか。皆、買出しありがとうね」
まぁ、買出しと言ってもバーゲンセールだったドリンクの粉とか、栄養剤とかその他諸々。
リコちゃんと男子は遠慮してたんだけど、丁度女子の今日の午前メニュー、ロードワークコースにある店だったから、というわけで買出しをかって出たのでした。
常磐さんは火神君に差し入れを持っていくよう私達が仕向けちゃいました。
なんかいい感じで、先輩ともなるとやっぱり後輩の恋を応援したくならない?
ま、火神君が無茶しないよう、監視っていう意味もあるんだけどね〜。
銀さんはジムの入り口まで運ぶのを手伝ってくれたけど、誰かからかメールもらって、昼練には戻りますって言って、どっか行っちゃった。
まぁ、5人もいるし、そんなに大荷物ってわけでもないから快く送り出したんだけどね。
「で、これは…。男子特有の習性ということですか?」
「そういうことのようだな」
「だねー」
「そもそも、ちょっと胸が大きくて可愛いぐらいで、みんな慌てすぎよ。もう!」
「女は胸じゃないのに」
キョウちゃんの言葉になーちゃんと私が同意すると、貧乳がコンプレックスのリコちゃんがちょっとキレ気味。
その横でリコちゃんと同じカップサイズのカズちゃんの背後が黒い。
「ねぇ、日向君?」
「…うん」
リコちゃんの言葉を耳には入れているものも、日向君の視線は明らかに誠凛の生徒ではない女の子に向かっていた。
「そだね…」
正確には彼女の胸に。
「チラ見してんじゃねぇよー!!男ってやつは、どいつもこいつも!!」
リコちゃんの拳によってぶっ飛ばされた日向君。
注目の的の女の子の胸はなーちゃんぐらい大きかったし、美少女だったから、男子からしたら目がそらせないんだろうねー。
凛ちゃんも顔赤いし。
後でからかってあげようかなー。