キセキの始まり

□3Q
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久しぶりにチームメイトに会いに来たのはいいんだけど、体育館ってどっちだろ?

もう下校途中の女の子に結構注目浴びてるから、騒ぎになる前に体育館に着きたいんだけど。

女子に尋ねるにも、めんどくさいことになりそうだし・・・。

あ、男子いた。

ロードワーク終わったあたり?

彼に訊こう。


「あ、すみませーん」

「ん?どうかしたんスか」
 

あれ?

声、高校生男子にしては高くない?

え、まさか・・・。


「あれ?もしかして、女子?」
 

顔は中性的だけど、十分イケメン。

水色の切れ長な目とか、ヘアピンとかかなりイケメン際立たせてるけど。

まさかの女子!?

黒子っちより背高くない?


「いちおーは」
 

あ、やっぱ、そうなんだ。

声かける相手、間違えたかなー。

ここで騒がれるの嫌なんだけど。


「あんた、もしかして・・・」
 

はい。モデルやってる黄瀬涼太です。


「『キセキの世代』?」
 




「あ、うん。そーだけど」
 

うおっ。

めっちゃ、目輝いてるんだけど、この子。

まさかモデルじゃなくて、『キセキの世代』か女子に訊かれるなんて、初めてじゃないっスか?

もしかして、俺がモデルって知らない?

どんだけ、バスケ一筋?

でも、この子なら他の女子よりもマシか。


「よかったら体育館まで案内してくれない?」
 

そう尋ねれば、快くイケメンな彼女は了承してくれた。
 
道すがら、彼女の名前を聞けば常磐芒というらしく、俺とタメだった。
 
そして、コレどういう状況?
 
体育館に着いたはいいけど、女子にサイン強請られてるんだけど。

しかも、隣で常磐ちゃんが女の子口説いてるんだけど。

あれ?

常磐ちゃんって女子だよね?

めっちゃモテてるんだけど。

女子に。
 

しかも、道中、常磐ちゃんに俺、モデルやってるんスよねーって、さらりと零したら、何て言ったと思う?

うん。知ってる。



あのチャラ男でしょ?



って。


酷くない?

初対面っスよ。

さりげに酷いし。



しかも、俺が女子に囲まれたら、記念にサインでももらってあげたら?


って。


どんだけ、俺の扱いぞんざい!?

中学時代以上に酷い扱いなんスけど!
 

まぁ、そんなこんなで今サイン書いてるんだけど。

疲れてきたなぁ。

でも、やっと誠凛バスケ部の人達も俺の存在にきづいてくれたようっスね。



「あーもー、こんなつもりじゃなかったんだけど」

「・・・・・・お久しぶりです」

「ひさしぶり。・・・スイマセン。マジであの・・・、え〜と・・・。てゆーか、5分待ってもらっていいスか?」
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