キセキの始まり
□2Q
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あー、やっぱりね。
「・・・んー、全ジャーだと能力値わかんないわね」
「まあまあ強い匂いはする。だけど、やる気全く無いし。誘わなくてよかった」
粟花の言葉は相変わらずストレートだけど、実際的を射ている。
銀さんはずっと立ってるだけ。
スクリーンもしてない。
ただコートで傍観しているだけ。
だから、銀さんのファンの子ももう応援なんてしてない。
不満というよりは、納得しているようだった。
まぁ、火神君がクラスマッチなのにダンク連続で決めてるからねー。
銀さんが怪我をしないように見守ってる感じかな。
火神君、猛獣扱いされてるわよ。
「そっか。にしても、火神君クラスマッチでも容赦ないわね」
そして、黒子君達のいる1−Bが圧勝。
この調子じゃ、決勝は恐らく・・・。
「おー、火神。リベンジしようぜ」
「うっす。キャプテン、よろしくお願いします」
「・・・・・・よろしくお願いします」
予想通りの決勝戦。
去年新設校にして決勝リーグまでいったからか、全競技の決勝戦の後にバスケの決勝がある。
多分、粟花ね。
体育部長だからって、女子を早く終わらせてから男子を特等席で悠々と見るなんて。
因みに、粟花は体育部長という権限を使って、レフェリーをしてる。
もちろん女子バスケは粟花のクラスが圧勝。
さすが、『影冠の五華』の一人。
「スタメン同士の試合か・・・。見物だな」
「そうですね。新鮮です」
「でも、一年不利じゃないかな?いくら一年には火神君がいるって言っても、二年の平均身長高いし」
「バレー部、バド部、剣道部、サッカー部、バスケ部の主将揃っちゃってる。その中で一番日向君が背低いんだけど。で、一年はバスケ部二人と帰宅部三人」
女バスメンバーの言うとおり。
日向君のクラス、っていうか、私も同じクラスなんだけどね。
まぁ、結構最強の布陣よね。
主将五人勢ぞろいなんだから。
そして、その中でも日向君だけが170CM台。
他は180CM超えてる主将達ばかりで、クラスからの声援に小さいなりに頑張れよ、なんてある。
そして、他の主将達も少し背の低い日向君頭を撫でてる始末。
日向君、笑顔でキレてるんだけど。クラッチタイム颯爽と入ってるんだけど。
対する一年は、帰宅部だと思う二人は完全に及び腰。
まぁ、そうでしょうね。
バスケ部でないといっても主将が四人もいるんだから、そこそこ他のスポーツもいけるわよ。
それに日向君も去年決勝リーグまで導いた主将として有名みたいだし。
まぁ、火神君と黒子君はやる気満々のようだけど、及び腰な二名に呆れてる。
それに日向君以外の二年生も結構ヤバイからなぁ。
「・・・・・・リコ。一年の士気上げてみてはどうです?」
「そうね」
相変わらず楽しそうな顔してるわね。桔梗は。
「バスケ部!負けた方は一週間メニュー5倍だからね!」
そう叫んだ私の声に今まさにゲームが始まろうとしているコート上にいたバスケ部三人の表情がひきつる。
「死にます」
「負けらんねーんだけど!」
「手加減しねーからな!死にたくない!」
わー、桔梗良い顔しすぎだよ。
本当に日向君と火神君のリアクション好きよねー。
まぁ、どこまでいけるかな?
二年はバスケ部は一人でも、初心者が四人っていうわけじゃないのよ。