キセキの始まり
□2Q
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僕のクラスでバスケに出るはずだった茅野君が発熱で学校を欠席したのです。
クラスマッチとはいえど、先輩達ともゲームができると喜んでいた火神君の落胆している様子はまさに子供でした。
そんな火神君を見て慌てた、体育委員である山崎君が本部に尋ねてくると言って、クラスを出ようとした彼を止めたのは既にジャージを着ていた銀さんでした。
因みに、このクラスで火神君はその図体と口下手さから不良のように、まぁ、腫れ物のように扱われていたため、怒らせてはいけない相手として認識されていたようです。
まぁ、本当はただの子供なんですけどね。銀さんは火神君に対しても他のクラスメイトと同じようにあしらっていましたが。僕ですか?
もちろん銀さんの気分でお昼を共にしたり、近況報告をしていましたよ。
銀さんと山崎君が本部に確認をとったところ、OKをもらえたようで。
銀さんは男子バスケに参加することとなりました。
感激至極です。
体育館。
「頑張ってー!」
「エルくーん!」
まぁ、予想道理に銀さんが男子バスケに参加することはあっという間に学校中に知れ渡り、銀さんは芸名で女子からの歓声を受けていました。
あ、銀さん面倒臭そうにしていますね。そんな銀さんも無敵で素敵です。
「銀って女子のファンも多いんだな」
「銀さんですから」
至極当たり前なことを口にする火神君。
本当に彼はお馬鹿なようです。
早速僕のクラスと1−Cとの予選が始まるようで、火神君は眼をキラキラさせていました。
あー、河原君、ドンマイです。
そして、火神君。相手チームは初心者ばかりなので、期待しすぎると落胆も大きいですよ。
そんなことを考えていると、銀さんが僕に声をかけてくれました。
「・・・・・・黒子、俺にボール回すなよ」
え・・・?
「・・・は?」
「一回俺に回すごとに、一月口きかねぇから」
「・・・・・・わかりました」
「え、ちょ!?」
「じゃ、頑張れよー」
そう言って、火神君の存在に動揺している相手チームを観察し始めた銀さん。
楽しそうですね。
楽しみだったんですけど。
銀さんとバスケするの。
「おい、銀ってバスケできねーの?」
「火神君は黙って、得点しててください」
「何、キレてんだよ!!」
キレてませんよ。
ただ、火神君がうざいだけです。
そろそろゲーム開始ですね。