キセキの始まり

□1Q
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「・・・・・・・・・男子の先輩達、去年IH都予選決勝リーグまで行ったらしいな」

「うん。対称的に女子はIH予選、第一戦で敗退。それをかなり引きずってるみたいだよ。だから、男子のマネジ的なことやりながら、自分達の個人技磨いてる時間が圧倒的に多い」

「・・・・・・そっか」
 

火神の間のある返答を受け、そこで漸く芒は我に返った。


「悪ぃ、悪ぃ。暗くなんなって!去年は5人丁度で、一人試合中に足捻挫したのが原因だったんだよ。それでも先輩達は4人で最後まで諦めねぇで古豪相手に68対67にまで持ち込んだんだから」

「!?・・・すげぇな」

「だから、今年はぜってぇ天辺に行く!」

「俺は『キセキの世代』をぶっ倒す!」
 

先ほどの暗い空気はなかったかのように意気込む二人。

芒はそこでふと、火神の言葉についての疑問を口にした。


「黒子も?」

「は?」

「だって、黒子も『キセキの世代』、『幻の6人目』なんだろ?」
 

影が薄い、背も低い、力もスピードもない、黒子テツヤという少年。
 
しかし、その正体は天才男子バスケ集団『キセキの世代』の一人であったのだから驚きだ。

実際、先日行った男子一年と二年の試合において、一年を勝利に導いたのは黒子の力もあったからこそで。


「あいつはチームメイトだろ。それ以外の5人を倒す!」

「そっか」
 

影の薄さを利用したを用いたパスやスティール。

それが黒子のスタイル。
 
彼がそれを発揮してからまるで魔法のような動きをするボールに、去年二年だけでIH都予選決勝リーグまでいった先輩達が翻弄されていた。
 
初めてみるスタイルには正直驚いた。だけど、それ以上に既視感が芒を襲ったのも事実。
 
その理由はわからないけれど、芒の目標を果たすには黒子がいなくてはならない存在であることも、また事実。


「じゃ、また後で」

「おう」
 

昇降口まで来て、芒と火神は鞄を置くためにそれぞれの教室に入っていった。
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