キセキの始まり

□0.5Q
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放課後の体育館。
 
館内にはバスケ部入部志望の新一年生及び二年生が集まっていた。


「よーし、全員揃ったなー。一年は、そっちな」
 

二年生の一人である眼鏡の青年が一年生に指示を出す。それに従いながらも、一部の一年生は視界に入った女子生徒の話で盛り上がった。


「なぁ、あのマネージャー可愛くねー?」

「二年だろ?」

「けど確かに!もうちょい色気があれば・・・」
 

視線の先には茶髪のショートカットで、大人びたというよりは可愛い顔立ちの女子生徒がいた。

二年生と平然と話す様子から彼女も二年生と判断するのは易い。


「だアホー、違うよ!」
 

しかし、彼らの読みは少しずれていた。


「「ぁ、いて!」」
 

眼鏡の先輩に軽く小突かれた一年生らの前に先ほどの話の渦中にいた女子生徒がやって来た。

にっこりと笑うその姿はどこか凛々しさを感じさせる。


「男子バスケ部カントク、相田リコです。よろしく!!」

「「「ええ〜!?」」」
 

二年生であろうその少女、リコの自己紹介に一年生は驚きを隠せないが、威厳を感じさせる彼女の姿に指示を待った。


「・・・じゃあ、まずは」
 

それを受けて、リコはバーンと爆弾を投下した。


「シャツを脱げ」

「「「え゛え゛え゛〜〜!!?」」」
 

先ほどの比でない驚愕の声が一年生から上がるが、やはり去年までは中学生だった彼らは理不尽でも先輩の言うことだからと渋々、シャツを脱いだ。


「なんだコレ・・・」
 

真昼で室内といえども、まだ春で肌寒い中、上半身裸の集団は異様だと彼らは自覚し、困惑していた。

しかし、彼らのそんな表情を気にすることなく、リコは彼らの体を順々に見ていく。


「キミ、ちょっと瞬発力弱いね。反復横とび50回/20secぐらいでしょ?バスケやるなら、もうちょいほしいな」
 

一人一人、的確なアドバイスをしていく。


「キミは体カタイ。フロ上がりに柔軟して!」
 

そのリコの言葉に一年生は驚きを隠せなかった。


「キミは・・・」

「マジ・・・!?合ってる・・・」

「どゆこと!?」

「てか体見ただけで・・・?」
 

驚く一年生に眼鏡の先輩は声をかけた。その姿はやや誇らしげ。


「彼女の父親はスポーツトレーナーなんだよ」
 

データをとってトレーニングメニューを作る。
 
毎日その仕事場で肉体とデータを見続けてるうちについた特技。
 
体格を見れば彼女の眼には身体能力が全て数値が見える。


(まあカントクたる所以はそんだけじゃないけどな・・・)
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