The cruel game of heart

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晴れた日曜日には、毎週、近所の公園に両親とピクニックに出かけていた。



母お手製のお弁当はいつも美味しくて、特に甘い人参入りの卵焼きは格別お気に入りだった。

父はブランコに乗る私の背を押してくれて、普段なら見ることのできない高い景色を、心地よい風を与えてくれた。
 


父の冗談に、母と一緒になって笑った。
 




雨の日は家の窓から空を睨んでいた。

すると、母が笑いながら私の皺が刻まれた眉間を指さし、広げてくれた。

父と一緒にテルテル坊主をつくった。

何故か胸の大きいテルテル坊主を父は作り、私は呆れた目で見ていた。

私は王子様のテルテル坊主を作った。

金髪で白馬の王子様じゃない。

黒髪で、優しくて、いつでも助けてくれるような、騎士や侍のような男の子。

それが幼い頃からの私の理想の旦那様だった。

黒髪っていうのは、金髪よりも色味が強いから、力も強いという単純な考え。
 


午後から晴れた日には小さめのおにぎりと紅茶の入った水筒を持って行って、談笑をしていた。

サッカーで試合ができそうなぐらいの数のテルテル坊主も一緒に持って行って、屋根つきのベンチの下に並べたりもした。

風にあおられて、すぐに倒れて、また立てて、あおられての繰り返し。

いたちごっこのような遊び。

その時は夢中になって、父と一緒に風に対抗していた。

母はそんな私たちを見て、優しい眼差しを向けていた。





穏やかな時間。
 
居心地のいい空間。
 


これが幸せだということを、私は失ってから知った。
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