The cruel game of heart
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「キラ。城には来ぬか?今、来れば料理長を任せるが」
普通にしていても麗しいというのに、大人っぽい、魅惑的な笑みをキラに向けるビバルディ。
同性であるアリスですらときめいたその甘美な表情に対し、キラは苦笑を漏らした。
「今は、遊園地で喫茶店も開いてて、順風満帆だから、いい話だけど、遠慮させてもらうよ」
「そうか、残念じゃ」
そう受け答えたビバルディの様子からして、断られるのは目に見えていたが、あえて訊いてみたのだろう。
おおげさに落胆した女王のカップにキラは追加の紅茶を注ぐ。
「気が利かなくてすみません。どうぞ」
「いや…。で、キラ。猫とはどうなのじゃ?」
「はい?」
ここからが本題というような雰囲気になったため、身構えたキラだったが、女王の瞳は子供のような好奇心に満ちていた。
「猫をたらしこんだのであろう?」
「違うから。誰がそんなこと…」
こてん、と首を傾げるビバルディ。
キラキラ輝く瞳から無意識の仕草なのだろうと判断できるが、それを可愛いと思う以前にキラは引きつる表情筋を自制するので精一杯だった。
「ただ、チェシャ猫が俺に纏わりついてくるだけだよ」
「ほう…。どこまでいった?」
「…どこにも」
「同衾はまだせぬのか…」
「俺にも好みがあるんだよ」
「両刀と豪語していたくせに」
「それはそれ。これはこれ。あいつは無理。生理的に」
「猫なのだから、どうせネコじゃろ?」
「へ?ねぇ、キラ。ボリスは猫だよね。猫だからネコってどういう意味?」
「ぐっ、ごほっ…!」
アリスは少し興味があって素知らぬふりをしながら、紅茶を飲んでいたが、アイリの発言にむせた。
「突っ込まれる方をネコというのじゃ」
「へぇ〜」
「ちょ、お姫さん。自重しようよ」
「いいではないか。どうせ、お前達は付き合うことになるのだから。付き合った後は妾達の前でノロけるのだろう?ナニをしたとか」
「さすがに俺、そこまでオープンじゃないから。今、お茶会だからね。そこらへんは流石に気をつかうよ」
「つまらぬ男よのぅ」
「ごめんねー!何、コレ!?俺が悪いの!!?」
「無論じゃ」
モラルって何だっけ?と、悶々と悩むキラとアリス。
新たな知識を得たとほくほく顔のアイリ。
そんな三人を見て、ほくそ笑むビバルディ。
まさにカオスとしか言いようが無い。