The cruel game of heart
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「アリス!これはどうじゃ?」
「や、ちょっと私にはフリルが多すぎる!!」
「アリスなら似合うよ」
「あぁ、アリスのためだけに作られたようなドレスじゃないですか。是非とも、着てみてください!」
「無理無理無理だから〜!!」
時計塔領土の商業地区。
そこのあるブティック専門店には一際キャラの濃い4人組みがおりましたとさ。
一人はこのハートの国を治めるハートの城の女王、ビバルディ。
余所者で、ハートの城滞在のアリスと帽子屋屋敷滞在のアイリ。
そして、余所者を拉致って来てからというもの、電波化したハートの城の宰相、白ウサギこと、ペーター=ホワイト。
店の外にはハートの城の領土から時計塔領土までで買った品物を山のように積み上げながら、荷物持ちをしているハートの城の数十名の兵士達。
ことの始まりは、余所者二人と異物、ハートの城の女王による茶会から始まった。
「ね。すっごいおいしいでしょ!ビバルディ」
「うむ。なかなかのものじゃのぅ」
「ありがとう。アリス、お姫(ヒイ)さん」
「ほんっとうにおいしい〜。ねぇねぇ、キラはお菓子つくるの好きなの?」
「アイリもありがと。そんなにおいしそうに食べてくれて。まぁ、家事全般はできるけど、料理は特に得意かな?あんまり凝ったものは作れないけど」
「…十分、凝ってるからね。あんまりお菓子作りが得意じゃない私に対する当てつけかしら?」
四人でテーブルを囲むように座っているため、キラの丁度向かい側に座るアリスは頬を引きつらせながらキラをキッと睨んだ。
テーブルに並ぶのはフリルのドレスを思わせるデコレーションデザインの、可愛いショートピンク色をしたケーキ。
型で抜いたのではなく、明らかに自分の手作業によるものと思われる、細やかな薔薇の模様が刻まれたのマーブルクッキー。
彩り豊かなマカロンにはチョコペンやスプレーなどで動物の顔が描かれていた。
「まさか。まぁ、今回のは頑張った方だよ。城のお菓子で口の肥えたお姫さんとアリス、帽子屋屋敷で人参スイーツにはまったアイリが満足するようなものを作ろうと苦心したんだから」
ぷんぷん、と効果音がつきそうな感じで唇を尖らせたキラ。
しかし、それに対するツッコミはなく、アリスはアイリに尋ねた。
「アイリ、人参好きなの?」
「んー、フツーだけど、人参スイーツは見た目も可愛いし、美味しいから、エリオットとよく食べるよ〜」
「へ、へぇ…」
人参料理処理班のために帽子屋、ブラッドに抜擢されたアイリだったが、その役目を果たしているのか、それとも、より悪化させているのか。
後者だろうな、と直感したアリスはブラッドに対して憐憫の感情を覚えた。