The cruel game of heart
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「・・・というか、帽子屋から心の傷なんていうセンチな言葉が出たのに驚いた」
「妾もじゃ。ハートのない男がよくのうのうと言えるな」
珍しく理の適ったブラッドの案にゴーランドが折れた。
しかし、その珍しさにキラとビバルディが鼻で笑ったのはご愛嬌。
「・・・・・・とにかく、彼女はエリオットと親しくし始めている。少しは安心要素も芽生えただろう」
「それは否定しない。・・・別に帽子屋屋敷がアイリの滞在地でもいいが、くれぐれも彼女のゲームの邪魔はするな」
「・・・覚えておこう」
キラの忠告に不敵な笑みで了承したブラッド。
これで懸案事項は済んだとばかりに腰を浮かせたキラの肩に黄色い腕が伸びた。
「なら、あんたは心置きなく遊園地に滞在できるな」
「そうじゃな」
「あぁ、不安要素はこれで無いな」
またまた珍しく敵対関係にある領主たちが意気揚々と頷き、同意を示す。
「・・・え、何これ。俺はめられた?」
呆然とするキラを他所にゴーランドはルールに従うべく、ブラッドを案内する。
「さぁな。よし、帽子屋、あっちで領土交渉でも始めようぜ」
「そうじゃな。時間帯もそろそろ変わりそうだ」
「待て、何故ハートの女王まで来る」
「気にするな」
「そうだ。男なら細かいこと気にすんじゃねぇ」
「おい!」
今度呆然とせざるをえないのはブラッドであった。
頬をひきつらせながら、ニヤニヤするゴーランドに引きずられ、ビバルディがクスクス笑いながら、カフェテリアのドアを閉めた。