The cruel game of heart
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「止めろ」
男の指示に従い、部下はブレーキをかける。
そこまで速度を出していなかったため、危なげもなく滑車は停止する。
木々の合間を縫う青いエプロンドレスの少女。
どうやら地上よりも高い位置にいる彼らに気づくことなく、彼女はひたすらに出口を求めているようだった。
「捕まえろ」
「はい」
トランシーバーを置いた男は5メートル以上もの高さをものともせず飛び降りると、少女めがけて疾走した。
コンパスや体力に大きな差があったらしく、あっという間に男の手は青いエプロンドレスにひきつけられる。
少女の腕を捕らえようと、わずかに男の速度が緩まった。
バンっ。
「!?」
男の手から朱が溢れる。
突然の銃声に滑車にいた中年も反応した。